壮年賢者のひととき

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
58 / 80
1月・勇者はあられもない

52

しおりを挟む

「はぁー…」

陽菜子はワイシャツのボタンを一旦全て外して袖を抜き、ピンクのブラジャーを取って助手席へ置く。

「いいねー…ヒナちゃん…かわいい♡」

「健一さん、日に日に変態になってませんか?」

「失敬な…てか元々がそんなに真面目な人間じゃないんだよ、よし、シャツ直して…ご飯買おうね」

 第一ボタンまできっちり留めてカーディガンを羽織り、助手席に戻るために屈んでコンソールボックスを跨げば水風船のように2つの丸みがぽよぽよと柔らかそうに揺れる。

「うわァ♡けしからんね、ヒナちゃんのおっぱい、」

「健一さんがさせてるんでしょう!もう、行きますよっ」

靴を履いて鞄を抱き、陽菜子は先に車を降りた。

 すると停まっていた車からエンジン音と助手席の窓が開く音がして、

「スーパーの駐車場に入れ直すから、歩いて向かっててよ」

とフロントの日除けを畳んだ嘉島が声を掛ける。

「は、ちょっと!」

「すぐそこだから、じゃ」

 嘉島の車は北店の駐車場をぐるんと旋回してスーパーの駐車場へ、50メートルほどの距離を陽菜子はひとりで追いかけた。


「なんで私が…こんな…」

歩けば胸は弾んで先端がワイシャツを擦り、ペンダントトップはペチペチと肌を叩く。

 ワイシャツが張り詰めるほどに胸が大きければ揺れて擦れたりなどしないのだろうか。

 服との間に隙間が有るからこそ、このように足を出すたびに揺れて擦れて、擦れるから勃って…陽菜子はそこばかり意識しながらスーパーの入り口まで歩いた。


「頑張ったねェ…ちょっと見せて?あ、乳首勃ってるわ、ヒナちゃん…エロ♡」

合流した嘉島はカーディガンを少し寄せて胸の具合を確認し、予想通りの出来に実に爽やかな笑みを浮かべる。

「早く、買って帰りましょう…」

その顔は嫌いじゃない、キュンとしてしまう悔しさを噛みしめながら陽菜子はカートを押し、目ぼしいものをカゴへと収めていった。


「どう?擦れてる?」

時折そう尋ねては本人の口から「擦れてます」「揺れてます」「勃ってます」などと回答させ、日中の眉間の険しさは何処へやら…嘉島は珍しく甘い菓子などカゴへ入れてしまうほどに浮ついている。

 そこへ

「あれ、嘉島副店長?お疲れ様です!」

そう声がしたかと思うと、北店の嬉野が同じく買い物をしながら睦じい二人の様子をまじまじと見つめていた。

「あ、お疲れ様…もう終わったんだね、」

「はい、私は今日は早番なので……あの、副店長、そちら…ご家族の方ですか?」

「!あ、…」

 嘉島の横でもじもじと顔を隠し俯く陽菜子が少し顔を上げてペコリと頭を下げれば、

「うん、うちの奥さん。可愛いだろ?年の差夫婦だよ」

と素の笑顔で言うもんだから、嬉野も陽菜子も何故か嘉島本人も皆で頬を染めてはははと笑い、そのまま流れるように自然に別れた。


「あァ…驚いた…スタッフも買い物に来るんだな、元々が生活圏だから意識してなかったわ…あの人ね、レジプロだよ、20年は働いてる」

「け、健一さん……お、奥さんって…」

「うん、ダメだった?」

「いえ、あの……嬉しい、です…」

 ただの家族と言えば親子だと思われたかもしれない、答えなければいかがわしい関係だと思われるかもしれない。

 考慮した上での回答だったが、結果としてはそれで正解だったと嘉島は胸を撫で下ろす。

 事実可愛いし年の差はあるし…本当に、いずれ貰うつもりでいるのだ。

「怒ってない?ノーブラショッピング」

「怒…ってますけど、許します…。帰ったら…褒めてくださいね」

「うん、たくさんね」


 二人は買い物袋を分担して持ち、陽菜子はしっかりと助手席に座ってマンションへと帰るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

優しい先輩に溺愛されるはずがめちゃくちゃにされた話

片茹で卵
恋愛
R18台詞習作。 片想いしている先輩に溺愛されるおまじないを使ったところなぜか押し倒される話。淡々S攻。短編です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

処理中です...