壮年賢者のひととき

茜琉ぴーたん

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11月・勇者はしどけない

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 ギリギリの酒宴は嘉島と唯が潰れたことで終焉し、呑まなかった美月と陽菜子はやれやれと食後のティータイムを切り上げた。
 
「お邪魔しましたぁ…ごめんなさいね……ヒナちゃん…嫌だったら断るのよ?ふふっ、またね♡」

「は…い、いや、うーん…また」

 美月は唯を半分引き摺りながら、自室へ帰っていく。


 二人を見送ってから陽菜子はリビングへと戻り、寝転がる家主へと声をかけた。

「ふー……チーフ、ここで寝たら風邪ひきますよ」

陽菜子はとんとんと嘉島の肩を叩く。

 唯と美月に引っ張られ、プライベートなのに無意識に「チーフ」呼びになっていた。

「ん…アイツらは?帰った?」

「はい、もう帰りましたよー、もう、ユイちゃんと呑んでばっかりで寂しかったですよ」

「ん、ん。ヒナちゃん、キス、しよう」

だらりと寝転んだまま嘉島が手招きして、陽菜子を呼び寄せた。

「はい、………うわぁお酒くさい」

 ラグに膝を付いただけでもむあっと濃いアルコール臭が匂い、嘉島の持ち前のフェロモンも感じ取った陽菜子はくらりとなる。

「んなこと言わないでェ…ん♡」

「ぷは…だめです、ウイスキーは…濃い…んっ、ん~~」

「♡」

嘉島は陽菜子の首をラグビーボールのように抱え込み、ねっとりと口付けを続けた。

「は…♡ム…ンん…」

「は、あー………ヒナちゃん、俺のこと好き?」

「…!はい、好きですよ…」

「俺が留守にしてる間に葉山とか…若い奴に目移りしたら、遠慮なく言ってよね…」

「なんで葉山くん……もう………あの怪文書、気にしてたんですか?だから私、年齢で選んだわけじゃ無いんですけど…」

いい大人の度重なる泣き言に陽菜子はムッとなる。

「ふあん…だなァー…」

苦しそうに眉間を歪め、嘉島は目を閉じた。

 これは怪文書のことだけではない、これから副店長職の研修・勉強会が目白押しで、今後押し寄せる忙しさに気が滅入っているのだ。

「………どうしたら不安を無くせます?そろそろ私、チーフのものになりましょうか?」

 呆れたように、しかし覚悟をもって陽菜子は嘉島へ美味しい提案をするも、

「……!いや!違う、そういう…」

ガバッと飛び起きたものの酔いが頭に回ってぐらつき、嘉島は反省するように陽菜子の肩におでこを乗せた。

「ごめん、急かすように感じたならごめん。いっぱいいっぱいで…あの文書も…腹は括ってるんだよ、でもあんな…傍目はためには葉山とかがお似合いに見えるんだよ…」

「もぅ…葉山くんにはユイちゃんがいるでしょ?前に話した時に『彼女以外はイモ』って言ってたし」

「あのエロカップルはどうでもいいんだよォ…俺が目を話した隙に他にも若い良い奴が出てくるかも…」

 陽菜子は項垂れる嘉島の耳の辺りををこれまたボールの様に両手で掴み引き剥がす。

「もう…こうしましょう?」

そして離した手を下ろしクロスして、そのまま自身の柔らかいニットの裾を掴んだ。

「あ…」

嘉島には目の前の陽菜子の動きがスローモーションに見えた。

 薄い生地の肌着からヘソが透け、肘が上がると同時に胸元・脇・鎖骨。

 処理しきれない量の情報が視覚から流入してくる。

「ふっ」

 襟首から頭を抜く時に先ほど自分がつけたマーキングが現れ、「見ちゃった」というやましい気持ちにもなった。

 タンクトップ1枚、それにまた陽菜子は手をかける。

「ヒナちゃん、やめ、わー!」

「目を離さず見てくださいよ。自分の女でしょう」

 頬を紅くして嘉島をじっと見つめながら動きは止めず、床にピンクのブラジャーが落ち、陽菜子の白い上半身が露わになった。

「見てください…彼女のおっぱい」

「やめ…そうだ、君はこういう事をする子だった…」

「ユイちゃんの影響も少しありますけど」

「…あいつ……わっ」

 陽菜子は嘉島の手を掴み、てのひらを自身の胸に当てる。

 服の上から触れた時とは格段に違う柔らかさに、嘉島は気をやりそうだった。

 もちろん、女の胸に触れるのは初めてなわけはないのだが、若い彼女にこんなことをさせている背徳感も相まって、心が体がたかぶってくる。
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