壮年賢者のひととき

茜琉ぴーたん

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9月・勇者は容赦ない

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 夜も深くなり、嘉島の帰宅後、陽菜子から待ち合わせ場所と時間を知らせるメッセージが入る。

 何年ぶりかの甘い生活。

 嘉島はシャワーを浴びながら今日の出来事を思い返し、あんな若い子相手になにしちゃったんだと恥ずかしくなった。
 

 そして風呂上りにどうも気分が治まらず、今日の陽菜子の感触をオカズに年甲斐もなく一発抜くのだった。
 

『私は、離れるつもりはありませんよ?』

彼女はそう言ったが、長年染み付いた考え方は簡単には覆らない。

 逆に、最悪のパターンに構えておかなければ後々のショックが大きいから、これからも保険を張りながら生きていく。


 そして押し寄せるネガティブ賢者タイムに要らぬ事を考える。

「(どうせ、彼女にもっと相応しい相手が出てきたら…あの子は優しいから、俺に泣きながらサヨナラ言うんだろうな…傷つきたくないなァ…でもその時思い返すために、今幸せであるべきか…アー、いっそ、俺から逃げられないようにしちゃうか。いやでも、……)」


 今の幸せを完全には信用できない、嘉島の憂いの日々はしばらく続く。



つづく
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