77 / 80
エピローグ・賢者は大人気ない
72
しおりを挟む年明け…。
憑物が落ちたのか腑抜けになったのか、少しだけ以前のような穏やかさを取り戻した嘉島に追い討ちをかけるように、本社からとんでもない通達が舞い込む。
『フロア長・英田に横領の疑いあり、本社より監査部が入る。英田には自宅待機を命じる。証拠隠滅の恐れがあるため店に入れないように』
「はァ……?横領……ぁ、在庫が合わなくて…そういうことか…」
そこから英田は部下や同僚にも一切姿を見せることなく店を去った。
英田は店の商品を業者へ横流しして利益を得てデータを改ざん、被害総額は数百万円にも及ぶらしく、「なぜ気付かなかったのか」と管理職は揃って本社から叱責を受ける。
売り払われた商品の割り出しと照合などの後始末が済むと店長は本社管轄の店舗へ転勤、嘉島をはじめ管理職は社内規定や今で言うコンプライアンスに関わる要綱をみっちりと学ばされる研修合宿へ参加させられた。
そして戻ってくると嘉島は売り場から外されて、レジと営業事務…「金」を扱う部門のフロア長に変えられる。
その頃には嘉島はギラギラとした毒気が更に抜けて落ち着き、現在のような物腰柔らかい上司が出来上がったのだ。
・
「年を跨いだら急激に覇気が無くなって…中身が入れ替わっちゃったのかって…他の方は仰ってました…」
「うん…俺は結構権威とか役職に振り回されるタイプなのかもなァ。現に今、副店長になってワクワクしてしょうがないわ」
ベッドにて元カノ話を平気で聴きたがる妻・陽菜子に嘉島が昔話をしてやっていると、いつのまにか仕事の話へとシフトしていた。
「野心はあって当然ですよ、やる気が無い人には店を任せられませんから…あ♡」
「動いて欲しい?ヒナ…まだ我慢できるな?」
「は、い…」
嘉島は陽菜子を見下ろして繋がったまま、真面目な話をしてしまうこのシチュエーションに逆に興奮している。
「あの学生服のヒナちゃんも一回犯したいなァ、いい?お小遣いあげるから」
「それじゃ売春になっちゃ…あ…も、健一さん…動いて下さい、お願いします…むずむずしちゃって…苦しいです」
若妻は腰を捩って夫の責めを求めて、嘉島は可愛いおねだりに応じてゆっくりと動き出した。
「んあ……気持ちいい…スローペースなセックス …休みの前夜にこれは最高…痛くない?」
「大丈夫です…ぅあ♡は…エッチで…あ、いい、ですね…」
「うん…あー…このまま寝ちゃいたい、でももったいないね…ちゃんと種付けしてあげたいからなァ」
これはコミニュケーションであり子作りの一環、入籍後2ヶ月経った今では嘉島夫妻は特に避妊はせず営みを行なっている。
「種付けって…やらしい言葉ですか?実家で普通に聞いてたから変な感じです」
「そりゃヒナちゃん家は畜産業だから……、人間なのに家畜みたいに動物的に扱うのがエロスって…ことなんじゃない?……そうか…ヒナちゃんには何だったらエロいんだ?教えてよ」
「言わないですよ!」
むくむくと膨らんだり萎んだり、胎の中で大きさを変える夫を感じながら、陽菜子は口を噤んだ。
実際には「エッチな言葉」などろくに知りはしないのだが。
「ロマンチックな方が萌える?」
「んー…どうでしょう…ドラマとかもあんまり観ないし…」
「やっぱり強引な男かな?犯されたい願望あったりする?」
「無いですよ!あ、ひぅ♡」
見つめたままぐりぐりと押しつければ、深い所に当たってヒナコが悶える。
「締まってる…ん、ヒナちゃん、オジサンは高速ピストンとか体保たないからねェ、お互い求めるセックスの形が違うな、ふふ…すり寄せるか…染めるか…難しいね」
「なに、あ、…ッ♡あ、」
「俺が勃たなくなっちゃったら、バイブとかローターとか…玩具も導入しようね、指は動くよう鍛錬しとくわ、」
知らない単語が続いて混乱する妻をよそに、夫は自身が言った言葉によって興奮していた。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる