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1月・勇者はあられもない
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しおりを挟む「どのくらい?半分?」
「ととと…うん、それくらい。うん…女将、先にいただきます」
「はい、お上がり下さい♡」
白いシャツの中の胸、そこには自分がプレゼントしたペンダントがこの女の所有権を主張していて…
「最高のアテだよ」
嘉島はごく少量の酒で顔を真っ赤にして、頬杖で陽菜子の後ろ姿を眺めた。
メインディッシュが出来上がる頃には彼はもうべろんべろんに酔っ払っていて、明太子の粒を口の端に付けたまま卓上に突っ伏していた。
「健一さん、できましたよー……寝ちゃいます?」
「いや、食べる、食べるよゥ…女将、あーんして、食べさせてェ…」
「熱々だから無理です。私、先に食べちゃいますね、いただきまーす」
向かいに座った陽菜子はスプーンで豪快に食べ始める。
「ん…つれないな……ふふ♡ねェ女将、おっぱい見せてくれる?」
「女将はそんな事しません、真面目にお食べなさい」
「あそ…いただきます…………美味い…」
玉子にもしっかりと火を通した家庭料理の親子丼、甘くて醤油が利いていて、副菜の煮物も味が染みていてこれだけでも飯が進む出来だった。
「良かった…たくさん作りましたから、小分けにして食べて下さいね。ご飯さえ炊いておけばしばらくいけますよ。あとこれ、鶏皮」
もも肉から剥がした皮は細切りにしてカリカリに焼いた、陽菜子は「脂っぽいですけど」と前置きしてから嘉島へ勧める。
「ありがとう…ヒナちゃん…はァ…まじで…仕事キツくてさ…もー……」
丼を半分空けた嘉島は仕事の愚痴を蕩々と語り、陽菜子は黙って時折頷いては食べ進めて器を空にする。
「…っていうね、……はァ…ごめん、愚痴は以上だ…忘れて、ごめん」
「良いですよ、喋って楽になるならどんどん話して下さい…」
陽菜子は食器をシンクへ片付けてから嘉島の背後へ回り、その疲れた体をぎゅうと抱き締めた。
首には柔らかい腕が、肩には無防備な胸がむにゅと当たって、
「大丈夫ですよ、健一さんは頑張ってますよー」
と耳の後ろで囁かれれば、浮いた頭から伝令が降る前に体が反応してしまう。
「ん…あ、…すぐ食べちゃうわ…」
「ゆっくりでいいですよ、ちゃんと噛んで…」
「ヒナちゃんと遊びたいんだよ、酔ってるしコーフンしてる」
「あ、」
だから前屈みなんですね、陽菜子は男性の生理を目の当たりにして腕を離して後退り、軽はずみなことはしてはいけないなぁと飯をかき込む嘉島を見遣っては自戒を試みる。
それから嘉島はソファーで陽菜子の胸を揉みしだきながら旅行の計画を立て、彼女が寝静まった後に一人で励んでからベッドへ入った。
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