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11月・勇者はしどけない
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しおりを挟む初セックスに初中イキでくったりとした陽菜子の手を離してやり、頭を撫でてやると
「やだって…言った、じゃないですかァ!もぅ…意地悪…馬鹿…ばか…」
と手で振り払って恨めしそうな目で睨まれた。
「ごめん…止まれなかった…初めてでしんどかったね」
ぎちぎちに締まった陽菜子のナカからゆっくりと自身を引き抜き、スキンに手をかけた嘉島が声を上げる。
「うあっ…!あ、あ、」
「なん、あ…」
振り返ればヒナコのソコに、シーツに、スキンに、まだらに血が付いていた。
「そうか、そう…ごめん、わー…ビビリで…血は耐性が無い…」
「いえ、汚しちゃってすみません…あー、はは、痛い」
「グダグタになっちゃったなァ…よし、お風呂入ろう。先に行っておいで。掃除はしてあるから、お湯ためてて」
陽菜子は寝室の隅に置いてある「ヒナコ箱」から着替えを出し、よたよたと風呂場へ向かう。
数回通ううちに、私物を置かせてもらうようになったのだ。
嘉島は血が付いたボックスシーツを直視できずに剥がし、ため息を吐きながら新しいシーツをクローゼットから取り出す。
汚されたのが嫌なわけでは断じて無い。
覚悟はしていたものの、出血というものに対しての耐性が無さすぎてせっかくの高揚感が萎えてしまったのが癪なのだ。
とりあえずシーツをベッドに置くだけにして、嘉島はヒナコの後を追う。
洗面台に汚れたシーツを投げて浴室の扉を開けると、そこにはもこもこの泡にはしゃぐ陽菜子の姿があった。
先ほどまで自分の腕に抱かれていた女と同一人物とは思えないくらい、無垢で無邪気な笑顔を見せている。
「………楽しい?」
「きゃあ!ちょ、声かけて下さいよ!」
「ごめん、君は本当になんというか…楽しい事を見つけるね」
明るい場所で改めて嘉島の裸体を目の当たりにし、陽菜子は露骨に照れて背中を向けてしまう。
「…新しいボディーソープ、すごく泡立つから…面白くて…」
「うん、エロくていいね」
嘉島も浴室へ入り、後ろ手でドアを閉めた。
「もう…」
「背中流してあげるよ、…細いなァ」
しゃがんでボディーソープを手に取り泡を広げてやると、陽菜子がぴくぴくと反応する。
「ヒナちゃん、全身が性感帯なのかなァ…面白いね」
「んっ…くすぐったいんですっ…」
「こっち向いて」
向き直らない陽菜子に痺れを切らし、嘉島はバックハグから手を脚へ伸ばしてまだ血の付いたソコに泡を纏わせる。
太ももに手を滑らせ、ご満悦の様子だ。
「いえ、自分で洗えますから!あの、いやー♡」
「いいじゃない、もう見ちゃってるし。ちゃんと洗わなきゃ」
洗い流して、湯が半分溜まった浴槽へ浸かる陽菜子に嘉島は
「ヒナちゃん、無茶してごめん…怒った?」
と体を洗いながら尋ねる。
「…どうですかね」
「…後悔はしてない?」
「まだそんなことを。臆病ですね!」
「時々確認させて…ごめんね」
シャワーの音にかき消されながらも思いの丈を伝えれば、
「もぅ…早く来てくださいよ…」
と湯船へ迎え、ちゅっちゅとバードキスを交わした。
「好きですよ、健一さん」
「ん、好きだ、ヒナちゃん」
「転勤って言っても、すぐそこだし、引っ越すわけじゃないんですから」
「確かに」
嘉島の転勤先・皇路北店は、このマンションから徒歩でも5分とかからない、中規模店である。
「クリスマスも泊まりに来ますし…ね。明日は何しましょう?」
「ナニしよう」
「?」
宣言通り風呂上りに感想戦でも指そうかと目論んでいた嘉島だったが、陽菜子は布団に入ってものの3分で寝てしまった。
なのでリビングへこっそり移動し、持て余した元気を手に一人で励み、無事に昇華させてから床につくのだった。
そして翌朝…嘉島は例によって陽菜子にベッドから蹴り落とされ目覚め、その時庇った左腕と昨夜奮った腰は昼まで痛かった。
彼はあわよくばもう一回と思っていたが、自分が原因の痛みにげんなりしている彼女を労って、結局追加セックスは諦める。
二人でゆるゆると、抱き合ったりキスをしたり、満ち足りた甘い休日を過ごしたのだった。
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