25 / 80
10月・勇者はあどけない
23
しおりを挟むそれから支度をしてマンションを出て…車は順調に走り、嘉島のいつもの到着時間より5分ほど早めに会社駐車場に着いた。
会社の人間にバレないよう駐車場から離れた場所で陽菜子を降ろしてやるために早く出たのだが、店から徒歩2分のコンビニは皆もよく使うし、あまり遠い所から歩かせる訳にもいかない。
考えに考え、嘉島はいつも通り駐車場に入り、陽菜子の車の運転席側に駐車することにした。
まさにドアtoドアで見つかりにくいし、店舗建物まで百メートルは離れている。
「では、また」
「あァ、またね」
陽菜子は周囲を確認してからささっと降りて、マイカーに乗り込み嘉島もすぐ降りるがなぜか互いの車の間に入り、周りを確認しながら運転席の窓をノックして、窓を開けるようジェスチャーする。
「え?どうされました?」
陽菜子が何かあったかと窓を開けて小声になると、嘉島はチョイチョイ、と人差し指で彼女を窓の近くまでおびき寄せ、無防備なその唇に素早くちゅうっとキスをした。
「今朝はしてなかったから。はは、行ってきます、すぐ出なさい」
「ふぁ、い♡」
男は煙草に火をつけ、腰をさすりながら店舗までゆっくり歩く。
陽菜子の車が駐車場から出て、ちらほらと遅番のスタッフの車が駐車場に集まり出す。
初めての朝帰りは陽菜子にとって特別なものになったろうか、年齢を感じさせるだけだったようにも思う。
「ふー…」
今日も忙しい1日の始まりをぞわぞわと感じ腰は痛む。
店舗裏口の喫煙スペースで嘉島は車の動きなど見ながら煙草を吸いきり、仕事モードに切り替えて館内へ入った。
つづく
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる