壮年賢者のひととき

茜琉ぴーたん

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10月・勇者はあどけない

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「……もうハッキリ聞くけどさ、ヒナちゃん、男とシた事ある?あー、その、」

 無いだろうとは思うのだが、一応聞きたかったことを嘉島は尋ねてみれば、

「……な、いです。離して下さい…」

お酒の力もあってか、そう答える伏し目がちに上気した顔が色っぽい。

「やだ…もうちょっと見たい。お泊まりを提案しておいてなんだけど、もう少し警戒しなさい…今日のハロウィンも、危ないと思って見てたよ」

「そう…ですか?そんなに短くしてなかったですが…」

「胸元。開けすぎだよ。パンケーキの時もそうだった。しかもそれで前のめりになったりするだろう、気が気じゃなかったよ。自分がエロい体してるって自覚なさいよ」

「…それは、褒めてますか?」

「褒めてる」

「♡…ユイちゃん、笠置かさぎさんがね、もっと胸を強調したらどうかって」

「…あー、言ってたな…余計なことを……えい」

「げフん」

 嘉島は掴んでいた両足をグイと引き彼女を腹這いにさせた。

 背筋はいきんの補助でもするかのようにふくらはぎをまたいで膝をつき座り…両膝は彼女の脚をしっかりと固定してしまう。

「あっ⁉︎」

「折角だから、犯罪っぽい事しておくよ」

そう言うと嘉島は何が折角なのかスカートの裾に手を伸ばし、綺麗な模様が入ったスカートの裾を左手で摘んで、パタパタと上下させた。

「ちょっと!」

「んな声出したら近所迷惑だよォ」

 確かに夜分に出すには大きすぎる声だったと、陽菜子はあからさまにひそひそ話のボリュームになる。

「やめて下さい…酔ってますね?」

「んー?聞こえない……ふふ、缶チューハイ半分で俺は酔わねェよ…」

 陽菜子は床に突いていた手を離して本当に腹這いになり、両手でスカートを押さえるも、嘉島も両手で参戦するのであっさり力で負けてしまう。
 

「…意外。黒とは」

黒い下着、しかし透け感が無いからか思っていたよりいやらしくはなかった。

「……いいじゃないですか、もぅー!」

「なんで黒?」

「色にこだわりは無いですよ!たまたま黒だったんです…」

諦めた陽菜子はスカートから手を離し、腕枕で突っ伏す。

「じゃあ、違うのも今度見せてね」

形のいいお尻を見れて満足だ、嘉島はスカートから手を離した。


「…下着は、素材と形で選んでるんです」

開き直った彼女は少し落ち着いて、自分から下着の話をしてくれる。

「かたち?」

「仕事の日は…その、外に響かない物を選ぶんです。仕事着の…ズボンに下着の線が出ちゃうのが嫌だから…」

「あー、女子アナの下着ラインとかパンチラだけで巻頭特集組めたりするもんね。好きな人は好きだもんね。気をつけないと」

「…そういうことじゃないけどそういうことです。見苦しくないようにしてるってことですよ」

 被服としての下着の話は恥ずかしくないようだが、自分が組み伏せられている事を忘れているのだろうか。

「へぇー、じゃあTバックが良いじゃない」

「機能性が低いんですよ。下着としての用を為しません。…女性はいろいろ有るんですよ。もう良いでしょう?降りて下さい」

「うん。良いもの見せてもらったよ」

嘉島が脚から離れ陽菜子を自由にしてやると、彼女はむくっと起きて対面に座り直す。

 髪が乱れ、おでこにワイシャツのシワの痕が付いていた。

「健一さん、私も見せてもらっていいですか?結構恥ずかしい気分でしたよ。味わってください」

 陽菜子はふふん、とばかりに宣言するも、

「男と女じゃ違うと思うけど…はい、どうぞ」

と嘉島はあっさり受け入れ胡座あぐらをかいて、両手を床に降ろし「ご自由にどうぞ、」と胸を張った。

「えっ」

「君も自分で開けて見てよ」

「………」

 案の定彼女は固まってしまい、自身の言動を後悔しているように見える。

「ヒナちゃん?ほら」

 嘉島はベルトのバックルをトントンと指で叩き挑発してみると、

「…ヤッパリイイデス」

と陽菜子は消え入るような声で撤回した。

「だろうね。もし脱がされても困ってたよ。…いい加減、着替えよう。お風呂入っておいで、シャワーね。そこを出てすぐ左、その向かいがトイレ。着替えはさっき買ったやつね、あと酔ってるから足元気をつけて」


 脱衣所に案内された陽菜子はひとり、洗面台でほろ酔い状態のままメイクをガシガシと落とした。

 サッパリしてからシャワーを浴びると、じんわりと疲労感が寄せてくる。

 随所を触られる度に、体を強張こわばらせていたからだろう。

「しまったなぁー…ぱんつ…」

 そしてもっと可愛いのを履いてくれば良かった…と後悔した。
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