19 / 80
10月・勇者はあどけない
18
しおりを挟む「……もうハッキリ聞くけどさ、ヒナちゃん、男とシた事ある?あー、その、」
無いだろうとは思うのだが、一応聞きたかったことを嘉島は尋ねてみれば、
「……な、いです。離して下さい…」
お酒の力もあってか、そう答える伏し目がちに上気した顔が色っぽい。
「やだ…もうちょっと見たい。お泊まりを提案しておいてなんだけど、もう少し警戒しなさい…今日のハロウィンも、危ないと思って見てたよ」
「そう…ですか?そんなに短くしてなかったですが…」
「胸元。開けすぎだよ。パンケーキの時もそうだった。しかもそれで前のめりになったりするだろう、気が気じゃなかったよ。自分がエロい体してるって自覚なさいよ」
「…それは、褒めてますか?」
「褒めてる」
「♡…ユイちゃん、笠置さんがね、もっと胸を強調したらどうかって」
「…あー、言ってたな…余計なことを……えい」
「げフん」
嘉島は掴んでいた両足をグイと引き彼女を腹這いにさせた。
背筋の補助でもするかのようにふくらはぎを跨いで膝をつき座り…両膝は彼女の脚をしっかりと固定してしまう。
「あっ⁉︎」
「折角だから、犯罪っぽい事しておくよ」
そう言うと嘉島は何が折角なのかスカートの裾に手を伸ばし、綺麗な模様が入ったスカートの裾を左手で摘んで、パタパタと上下させた。
「ちょっと!」
「んな声出したら近所迷惑だよォ」
確かに夜分に出すには大きすぎる声だったと、陽菜子はあからさまにひそひそ話のボリュームになる。
「やめて下さい…酔ってますね?」
「んー?聞こえない……ふふ、缶チューハイ半分で俺は酔わねェよ…」
陽菜子は床に突いていた手を離して本当に腹這いになり、両手でスカートを押さえるも、嘉島も両手で参戦するのであっさり力で負けてしまう。
「…意外。黒とは」
黒い下着、しかし透け感が無いからか思っていたよりいやらしくはなかった。
「……いいじゃないですか、もぅー!」
「なんで黒?」
「色に拘りは無いですよ!たまたま黒だったんです…」
諦めた陽菜子はスカートから手を離し、腕枕で突っ伏す。
「じゃあ、違うのも今度見せてね」
形のいいお尻を見れて満足だ、嘉島はスカートから手を離した。
「…下着は、素材と形で選んでるんです」
開き直った彼女は少し落ち着いて、自分から下着の話をしてくれる。
「かたち?」
「仕事の日は…その、外に響かない物を選ぶんです。仕事着の…ズボンに下着の線が出ちゃうのが嫌だから…」
「あー、女子アナの下着ラインとかパンチラだけで巻頭特集組めたりするもんね。好きな人は好きだもんね。気をつけないと」
「…そういうことじゃないけどそういうことです。見苦しくないようにしてるってことですよ」
被服としての下着の話は恥ずかしくないようだが、自分が組み伏せられている事を忘れているのだろうか。
「へぇー、じゃあTバックが良いじゃない」
「機能性が低いんですよ。下着としての用を為しません。…女性はいろいろ有るんですよ。もう良いでしょう?降りて下さい」
「うん。良いもの見せてもらったよ」
嘉島が脚から離れ陽菜子を自由にしてやると、彼女はむくっと起きて対面に座り直す。
髪が乱れ、おでこにワイシャツのシワの痕が付いていた。
「健一さん、私も見せてもらっていいですか?結構恥ずかしい気分でしたよ。味わってください」
陽菜子はふふん、とばかりに宣言するも、
「男と女じゃ違うと思うけど…はい、どうぞ」
と嘉島はあっさり受け入れ胡座をかいて、両手を床に降ろし「ご自由にどうぞ、」と胸を張った。
「えっ」
「君も自分で開けて見てよ」
「………」
案の定彼女は固まってしまい、自身の言動を後悔しているように見える。
「ヒナちゃん?ほら」
嘉島はベルトのバックルをトントンと指で叩き挑発してみると、
「…ヤッパリイイデス」
と陽菜子は消え入るような声で撤回した。
「だろうね。もし脱がされても困ってたよ。…いい加減、着替えよう。お風呂入っておいで、シャワーね。そこを出てすぐ左、その向かいがトイレ。着替えはさっき買ったやつね、あと酔ってるから足元気をつけて」
脱衣所に案内された陽菜子はひとり、洗面台でほろ酔い状態のままメイクをガシガシと落とした。
サッパリしてからシャワーを浴びると、じんわりと疲労感が寄せてくる。
随所を触られる度に、体を強張らせていたからだろう。
「しまったなぁー…ぱんつ…」
そしてもっと可愛いのを履いてくれば良かった…と後悔した。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】



溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる