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しおりを挟む「前戯はしっかりした方がええか?」
「え、あー…うーん…お任せで」
「はぁ?ほんなら好きにスるど?」
「うん、それでいい♡」
「……?」
積極的に誘った割に受け身なのだな。
伊東は些か疑問を抱くも、ご馳走を前に冷静でいられるほど大人ではないので真波を早々とベッドへ寝かせる。
「フツーの…正常位な」
「うん、」
「あんま見るなや」
「だめ?」
真波にとってはコンドームを装着する場面も初体験、興味津々で顔を上げて見つめると伊東の元気が少し萎えてしまった。
「……待って、すまん」
「頑張って」
「見るなて…恥ずかしい」
「そう?」
「お前…どんだけ…」
伊東は勘違いしているが、真波が男性器にあまり動じないのはアダルトグッズや無修正動画で見慣れているから…というのもあるのだが、職業柄人体の一部として大まかに捉えているのでそれほど抵抗が無いというところが大きいのだ。
病棟勤務だった頃は清拭で綺麗にしてあげることもしばしば、手術室付きになった今でも局部はチラリと見えることもある。
「男らしいね」
「…そこまで大きないど…お前、濡れとるか?ローション使うか」
「そじゃね…ん…」
つるんと入らねば痛みも大きいかもしれない。
真波はベッドサイドに置いてあった個包装のローションを開封して自ら陰部に塗りたくりまた仰向けになって伊東を待った。
「…マナミ、もう酔っとらんの、」
「うん、醒めちゃった」
「キス、してええか」
「うん、しよ」
悪そうな顔だけど真波を慈しむような穏やかな目つきにきゅんと惹かれる、初めての口付けをして1秒、ぬるりと温かい肉が触れたと思えば彼女の体に衝撃が走る。
「…ッひ、あ‼︎」
「きっつ……力抜け、おい…」
「あ、あ…あ、」
肉が削がれて拓かれる。
ドリルでも突っ込まれたかのような体感は拷問の如く真波の顔を歪める。
「締めんな…どんだけ……おい、お前まさか初めてか⁉︎」
「う、んン…」
理屈は分かっていても実践は未知の領域、真波は目を剥いて声も出せないほどの衝撃と痛みにただ呆然とした。
脚は動かせない、伊東が動けばそれも痛い。
ふぅふぅと荒い息を吐いては「じっとして」と男の腕をぎうと抓る。
「馬鹿、初めてなら先に言えや、痛いじゃろうが、」
「やだ、抜かんとって、そのままぁ、」
「いや、萎える、あー…早よ言えよ…ちゃんとしたったのに…」
「ごめん…」
少し落ち着けばようやく流れる涙、女になった歓びなど感じはしないけれど第一関門は突破したなと真波は脱力してほのかに笑った。
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