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しおりを挟む砂田真波は早熟な女子だった。
といってもいわゆる耳年増というやつ、フィクション作品に触れたりセックスについての体験談やコラムを読んでは「なるほど」と知識ばかりを溜め込む『恋に恋する女の子』だった。
彼女は専門学校を卒業してから地元の総合病院へ勤め始め、落ち着きとスキルを買われて外科手術の介助担当を勧められてメキメキと伸びて来ている。
恋愛はしたいけど面倒な男とは付き合いたくない。
しかし体の火照りを持て余して自分で慰める日々…勤め出して3年ほど経ったある夜、同僚が開いてくれた合コンにて彼女は後の彼氏である伊東裕明に出逢った。
同い年の彼は地元の土建屋で働くガテン系で、細マッチョでなんともエロい体つきをしておりその腕やTシャツを盛り上げる胸筋に真波は釘付けになる。
顔はまぁ及第点というか軽薄そうな感じ、整えた眉に三角の目、色の抜けた金髪でヤンキー感が強かった。
こうして仲間に連れられてコンパに来るぐらいだからそれなりに協調性があって友達付き合いもあって恋愛意欲がある人なのだろう。
真波は彼に的を絞ってアタックをかける。
「なぁ、二人で呑み直さん?」
「ええよ、そこらの居酒屋でええか?」
「んーん、こっち」
「へ…」
本日は地元の隣のまぁまぁ栄えている街での開催だったので盛り場もそれなりの賑わい、真波は土地勘は無かったがなんとなくそれらしい方へ歩いていくと見事料金表を掲げた電飾光る建物を見つけた。
「ヒロアキくん、ここ、入ろ?」
「いや、お前…ええんか」
「うん…ヒロアキくんに一目惚れしたんよ、シよ♡」
「ふん…ええよ」
初対面の合コン相手を即お持ち帰りするのだから相当慣れているのか。
伊東は悪い気もせず真波の肩を抱きホテルの玄関を入る。
「どれにする?」
「どこでもええよぉ」
「ん、ほんならここな」
「うん♡」
適当に部屋を選んでエレベーターで2階へ、真波は物珍しそうに室内をキョロキョロ見回す。
「先にシャワーするわ」
伊東はひとり脱衣所へと消えていった。
「ふー…」
その隙に真波は息を整えて、物の配置やインフォメーションを読み込みシステムを把握する。
時間、支払い方、帰り方、男性がリードするものだろうがこなれ感を漂わせて隣に寄り添っていたいのだ。
なんせ彼女はホテルなんて来たことの無い、それどころか彼氏すら作ったことのない…処女だった。
伊東は体つきもエロくて不良っぽいし夜も激しそう。
真波はビギナーのくせに荒々しいセックスがしてみたくて、めちゃくちゃにしてもらいたくて彼を選んだのである。
性格はまぁ細かいところは分からないが同い年だし基本的に話は合うだろう。
あまり賢くはなさそうだがきちんと働いているし地元の大手企業だというし、土日は休みだしで生活リズムも合わせやすそうだ。
最悪、どうにもならない糞野郎だったとしても今日限りで別れれば良いだけのこと、真波はさっさと処女を散らしてセックスライフを楽しみたいと考えていた。
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