74 / 76
2024(最終章)
74
しおりを挟む「遼平さん、よくよく考えたらシルバーのタキシードよりも黒い礼服の方が私が映えるよ」
「いや、金でゴテゴテしてるから」
「装飾は仕方ないって。さっきの写真みたいに、胸にお花飾ってさ、誇らしいじゃない。市民の安全を守ってる、私は遼平さんのカッコいいところ皆に見せたいよ!」
「……そう?」
「私、これ着て欲しい!お願い!」
「あずちゃん…」
私は控えめな方なので人にお願いも要求もしない方なのだが、だからこそここぞの頼み事に効果を発揮する。
私を輝かせるために礼服を着て欲しい、「私のため」を前面に押し出してのお願いだ。
「ずっと消防士するんでしょ、思い出と写真に残そう」
「う、ん…」
「それとも、これから1週間筋トレ禁止して筋肉落とす?嫌でしょ?」
「う、腕をしなければ良いんだろ」
「せっかく育てた筋肉をキープしたくないの?萎れちゃうよ?そんなの遼平さんの美学に反するんじゃないの?」
「確かに」
決定打が筋肉というのが口惜しいが、遼平さんは折れてくれた。
急いで家と式場を往復し、消防礼服を持ち込んでくれた。
「わぁ、カッコいい」
袖の3本線にダブルのボタン、肩も胸もゴールドが輝かしい。
羽織ってみてもピッタリ、ドレスシャツとネクタイに合っている。
細身のタキシードとは違い、腕も肩も余裕があって動きやすそうだ。
「どうかな」
「良い、すごくカッコいい!」
「…なら、これにするよ」
諦めたように笑う遼平さんだけど、ほのかに嬉しそうなのも感じられる。
職務に責任と誇りを持っているんだもの、カッコ悪い訳がない。
「楽しみだね」
「…うん…ごめん、困らせて」
「良いよぉ」
「どうせだから、誇示しちゃおうかなぁ」
遼平さんの最後の呟きの意味は、その時の私には分からなかった。
その意味が分かるのは結婚式当日、チャペルからガーデンへと出るフラワーシャワーのタイミングだった。
2
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる