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2023
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しおりを挟む目を合わせず生返事、私が迷惑していることも邑井は察しない。
だいたい、なぜ私は捕まっているのだ。
自分アゲ遼平さんサゲの話の、どこに面白味があるのか。
窓越しの逢瀬を見られていたとは予想外、邑井は防災訓練をキッカケに私たちが結ばれたと勘違いしているみたいだ。
もう帰りたいなぁ、
「それを、私に言われても」
とペコリ頭を下げた。
しかし邑井は察しない。
「だから、あいつ、青木はロクな奴じゃないから。そんだけ!」
「ソウデスカ」
「デブ専だし。すんげーデブにも声掛けて、訓練だっつって抱き上げてたんだぜ?見境ないから。お姉さんも騙されてるよ」
そのデブは私のことだ。
色々と失礼過ぎて顳顬にピキピキ来る。
「騙されてません」
「アイツ、マジでデブでもブスでも誰でも良いんだって、お姉さん、青木だけはやめときなって」
どうしても遼平さんを下げておきたいんだな、可哀想な人だ。
この人の中では、「情けない後輩がナンパ成功しててぐぬぬ」みたいな状況なのだろう。
私が遼平さんを嫌いになったとしても、邑井に寝返ることなど無い。
人を悪く言う人には惹かれない。
遼平さんは、酷い目に遭ったのに邑井たちには最低限の敬意を払いボロクソには言わなかった。
憎いだろうに、辞めて行った先輩たちのことを爽快そうには語らなかった。
私はそんな良い人な遼平さんが好きだから、邑井なんて目じゃない。
「あの、遼平さんは悪い人でも遊び人でもありません。彼にも私にも、これ以上関わらないで下さい」
そう言って横断歩道を渡ろうとしたところ、邑井の馬鹿力にぐいと腕を引っ張られた。
「っきゃあ!」
「何なんだよ、青木ばっかり」
「離して!」
「アイツ、何でも言うこと聞く馬鹿だぜ?知ってるか、フーゾク行っても勃たねぇヘタレだぜ!」
「それの何が悪いんですか‼︎私でちゃんと勃ちますから余計なお世話です‼︎」
我ながら変な宣言、頭に血が昇って卑猥なことを口走ってしまった。
カァと顔の温度が上がるのが分かる。
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