56 / 76
2023
56
しおりを挟むそして仕事が終わっていつものファミレスに集合、本日もたくさん注文した遼平さんはバツが悪そうに口を開く。
「今日いた、あの人…邑井さんって言うんだけど、元先輩なんだ」
「あ、そうなんだ」
「何となく察したと思うんだけど、僕を…その、いじってたというか、強く当たってた人のひとりで。一応自主退職になってたからそんなに苦労してないみたいなんだけど…この近くの工場で働いてるらしい」
「なるほど」
その暗い表情からは、軽い扱いではなかったことが窺える。
なのに遼平さんは「虐められた」とは言わない。
「…久しぶりに再会して…正直びっくりしたよ。固まっちゃって、でも舐められないように頑張っちゃった。あずちゃんも見てたし」
「うん…堂々としてたよ、弱そうには見えなかった」
「そっか、なら良かった」
ニッコリ気が抜けたように笑う遼平さんは、猫型配膳ロボットの到着で更に口角を上げる。
豪快にパクパク食べ始めれば、もういつもの遼平さんだ。
「これからもその人に会う機会はある?」
「んー、あの人ここらの出身なんだけど、地域の消防団にも入ったらしくて。出動時とか、訓練で会うことはあるかもな」
「…しんどくない?」
「職務中なら全然。僕も署内で立場も強くなったし、あの人にペコペコする理由が無いんだよな、本来は」
「なら…大丈夫かな」
ホッとして、私も届いた食事に箸を付ける。
あの邑井も、真面目に働いていれば今の遼平さんみたいに出世していたのだろう。
せめて今も元消防士の矜持だけは持っていて欲しいな、他人事にそんなことを思った。
1
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる