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 やっぱり求婚のつもりだったんだ、困難さも無く歩いて表へと戻る。

 専務は「おっちょこちょいねぇ」と笑い、自身でも「まったくねぇ」と呆れた。

 もう訓練はほとんど終わっていて、署長さんから簡単な挨拶をして解散となった。

 邑井のことは夜にでも聞いてみようかな、それよりプロポーズの答えが先か。

 待機姿勢もカッコいい遼平さんにラブビームを放っては、ひとりムフフと笑う。



「では、以上です」

 各団体がバラバラに帰り出した時、邑井がまた遼平さんに近付くのが見えた。

 うちは社屋に戻って昼休憩の時間だったので、多少の猶予はあろうかと様子を窺うことにした。


「青木、お前さっきの女の子、手ぇ出してねぇだろうな」

ガラの悪い絡み方、邑井は良いところが無い。

 遼平さんは

「出してませんよ、お帰り下さい」

と出口を手で示す。

「ふーん、せっかく可愛かったのに。相変わらずヘタレでやんの。あっそう…あ、お前はデブが好みなんだっけか。あの担いだ女。あれから進展あったのかよ」

「(……!)」

 悔し紛れに放った邑井の指す女とは、かつての私のことだった。

 太った私を好きだという遼平さんの趣向を馬鹿にしたいのだろうが、人をさげすむ材料にされたことが悲しい。

 そして邑井はやはり遼平さんを虐めていたメンバーだった。

 葛藤しながらも言いなりになっていた遼平さん、今は克服したのだろうか。

 本当は恐いんじゃないのか、割って入り助けようかと考えるも勝てそうな見込みが無い。
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