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2022・初お泊まり

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 5分くらいか、少し動いて、彼は私を一層強く抱き締めてから果てた。

 情けなさそうに、裏声で、私の名を叫んで。

 後で確認してみたが、シーツに少し茶色いシミが出来ていた。

「あ、血が垂れてる…ごめんなさい、汚しちゃって」

「良いよ、シャワーしておいで」

「でも」

「すぐにシミ抜きすれば大丈夫だよ。お尻、洗っておいで」

「うん…」


 マットレスまで浸透していたらどうしよう、旅館の備品だし不衛生だし申し訳ない。

 遼平さんの部屋のお風呂を借りてしっかり綺麗にして、戻ると魔法のようにシーツは元通りになっていた。

「え?」

「気にしないで」

「え?もうシミ抜きして、もう乾くもの?え?」

「これにはトリックがあってね」

 遼平さんは、ドヤ顔で部屋の隅を指差す。

 そこには彼のバッグと、先ほどの汚れたシーツが転がっていた。

「…替えを貰ったの?」

「いいや、元々が僕の私物」

「は?」

 どうやら、彼は自宅からマットレスに合うシーツを持参して張り替えていたらしい。

 そしてその下にはこれも自前のベッドパッドを敷いて、介護用の吸水シートも挟んでいたそうだ。

「僕、寝汗とかかくから替えはたくさん持っててね」

「…私を抱く準備、元々して来てたってこと?」

「…まぁ、ね…でも使うのは…可能性は低いと踏んでて…あずちゃんが嫌がるかもしれないし、何より僕がヘタレだからね」

「…コンドームも買ってたのに?」

「……用意は周到にしておかないと、あずちゃんだって困るだろ」

ちょっとだけ唇を尖らせる、これは照れ隠しか。

 そうね、準備してくれていたから安心して抱かれることが出来た。

 欲を言えば同室にしてもらえていたら、もっと嬉しかったとは思うけど。


「次は、同じ部屋を取ろうね」

「うん…いや、僕も断られたら気まずいからさ、ふた部屋取ったんだよ」

「もったいなかったね」

「まぁ、リッチな気分でね、過ごせるから」

 もう自分の部屋に戻るつもりは無かったのだが、お金を出してもらっているので使わねば無駄になる。

 たっぷり遼平さんを堪能してから部屋に帰ろう、彼の首に腕を巻いた。
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