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2022・初お泊まり

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 散歩を終えたらそれぞれ部屋に戻り、大浴場へと繰り出す。

 食べ歩きで太った腹を溶かすようにふにゃふにゃになるまで湯に浸かって、夜のシミュレーションを脳内でしてみる。

「(元々、するつもりで来てるから、何度もした訳ですが)」

 抱き合ってキスしながら脱がし合って、浴衣だから簡単だよね、慣れたら着たまんまとか、私が下になって、などと悶々と妄想する。

 血が出るなら何か敷かなきゃな、自前のタオルで良いかな、用意周到はみっともないかな、でも旅館に迷惑はかけたくないし。


 一旦化粧も落としてすっぴんになって、ほかほかのまま部屋へと戻った。

「軽く、お粉だけ、」

 思春期はニキビに悩んだものだが、高校を出るころには肌はすっかり綺麗になっていた。

 おかげで厚くファンデーションを塗らなくても済むし、自前のパーツで闘える強さはあると自負している。

「何より、痩せたしね」

 毎日見ていると変わりばえしないが、昔の写真など見返すとその変化に驚くことがある。

 地道な運動と摂生の結果だから、胸を張り誇って良いと思う。

「下着は、これ」

 何の変哲もないベージュの上下、しかしショーツの後ろ側は総レースで透け感バツグンの代物だ。

 アウターにも響き難く、まさに実用性とデザイン性を兼ね備えた逸品である。

 揃いのブラジャーは自然な盛り上げが出来る機能が付いており、あまり主張し過ぎると遼平さんが困るかもしれないとほどほどのセクシーさが気に入った。

「なんちゃって」

 下着のレポートをするくらいに高揚している自分に、ふと冷静な自分が待ったをかける。

 ここがゴールじゃない、でも大人だし遼平さんが好きだから興味を持って良いじゃない。

 もしとんでもなく盛り下がることになったとしても、話し合って改善が出来る仲に…なりたいのだ。

 たぶん、彼はしっかり復習と理想へのシミュレーションをすると思うし。


「よーし、まずは腹ごしらえだー」

 時計を確認して、夕食の会場へ向かうべく部屋を出た。
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