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2022・初お泊まり
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しおりを挟むランチをして散策をして、そろそろ旅館へチェックインしようかという話になった。
「楽しみー」
「そうだね」
宿の選定は二人でしたのだが、予約は遼平さんがしてくれている。
もちろん自分のお代は出すつもりなのだが、この分だと奢ってくれるのかもしれない。
旅館は、和風だけど鉄筋コンクリートの近代的な建物だった。
玄関の自動ドアを入るとロビーの右手にお土産屋さんがあり、左手にはフロントのカウンターが壁沿いに設置してある。
そして正面には8階くらいだろうか天井までぶち抜いた吹き抜け空間があり、これが広々とした印象で思わず「わぁ」と感嘆を漏らしてしまった。
「遼平さん、すごく良い所…」
「風情があるよね」
「お高いんじゃ…」
「うん?そうでもない。僕が出すから大丈夫だよ。気になるなら温泉にたくさん浸かって元をとると良いよ、ははは」
吹き抜けを私と同じ動きで見上げて、彼の視線は私の顔へと戻って来る。
ばちんと目が合ったので
「…遼平さん、あの…は、初めて一緒に寝るね、」
と内緒話みたいにゴニョゴニョ伝えてみた。
これは暗に明に私の女としての覚悟を示しているのだけれど、それに対する答えは私の期待するものではなかった。
キョトンとした遼平さんは
「…一緒じゃないよ」
と私の頭をポンと叩く。
「え?」
「安心して、別部屋を取ってあるから」
不安じゃないよ、むしろウェルカムだよ、戸惑いは顔に表れているはずなのに遼平さんは眩しい笑顔を見せる。
ここは喜ぶところなの?ぱちくりぱちくり瞬きを重ねた。
「え?え、え?」
「チェックインしてくる」
「えー…」
フロントへと向かう後ろ姿は颯爽としていてカッコいい、けれどあの盛り上がった肩甲骨も上腕も直に見ることは出来ないのか。
私はぽかんと口を開けて遼平さんの背中を眺めて、彼が振り返る直前まで小さく唸っていた。
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