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2020
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しおりを挟むそうしてまた次の春を迎え、私は22歳になった。
「あら、制服変えるの?頑張ったじゃない」
専務はそう言って、私の制服注文書類を受け取り判を押す。
昨年秋に私はやっと一念発起し、バス停ひとつ前で降りることによって徒歩通勤時間を延ばしたのだ。
小さなこともコツコツ続ければ積もるもの、私は若干ではあるが肉が落ちていき…この度XLの制服を頼むことにした。
ゆっくりした変化だから会社の人たちは気が付かず、冷やかされることもなく続けられた。
たまに会う取引先の方は「あれ、スッキリしたね」なんて褒めてくれるし、自信も付いて良い事尽くめだ。
とはいえまだポチャだし運動は続けるつもりで、相変わらず後輩が入社しないので下っ端としてお使いにも出ている。
消防署の前を通るのも変わらないし、そこに青木さんが見えないのも変わらない。
会えないうちに気持ちが膨らんでいて困るなぁ、そんなことを考える今日この頃である。
昨年秋に配属された新人隊員くんは少し逞しくなっているようで、地域合同の防災訓練でもキビキビ働いていた。
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