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盗人は猛々しく居直って*(全7話)
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しおりを挟む「明るいのもええやんか、興奮せぇへん?」
「恥ずかしい」
「ほな豆球にしろや、あ、それ、そこのんロウソクちゃうの」
彼が示した先、リビングの壁面テレビ台の一角にはパステルカラーのキャンドルがいくつか並んでいる。
別に舞の趣味ではない、モデルルーム上がりのこの部屋を契約したら、家具と装飾品も一切合切付属してきたのだ。
「これでロマンチック感出す?まぁ使い途無いから点けちゃおうか…あ、でも火が無いや」
このマンションのキッチンはオール電化のIHヒーター、最近はめっきり直火を見ることも減ってしまった。
「お姉さん、俺のライターがあるがな」
「あぁ……どこよ?」
「さっきの灰皿の横」
そうか、と舞は渋々キャンドルを持ってキッチンへ向かおうとするも、あの灰皿に関する思いを一つ、何気なく伝えてしまう。
これがいけなかった。
「あの骸骨こそ、買っちゃったけど私には使い途無いからさぁ……いずれは持って帰って使ってね」
舞はそう言い残してキッチンの奥へ進み、IHクッキングヒーターの向こう側に置いてある灰皿の横のライターへ手を伸ばす。
「なぁ、」
「ガっ…」
背中を打ち似合わない太い声が出た、頭が柳の声に反応するより先に、舞の上半身はヒーター横の作業台へうつ伏せに押さえつけられていた。
柳の腕が乳房の枕になり、咄嗟に肘を出したものの肩はぺったりと台へつき、顎も少し打ってしまう。
人工大理石の作業台が冷んやりと、舞の体温を奪っていた。
「いったぁ…な、に…」
「お前さ、さっきの何なん?いつか持って帰れって、いつか俺がここに来んようになると思てんの?んな事考えながらこのガイコツ買うてんか?」
「いや、あ…」
「俺の好みに合わせて買いました、ここで使うてね、でええやんか。いつか別れる思いながら付き合うてんの?気に入らんわ…舐めんなよ」
さっきまでは良い雰囲気だったのに、完全に失言だった。
舞は作業台に上半身がしっかり乗りあげ、脚が床から浮いてしまっている。
その彼女の耳元に柳が唇を付けて、
「ここがええか?テーブルか?床か?仕置きや、ベッドには寝かしたらんぞ」
そう啖呵を切るものだから、ゾクゾクと耳から胎まで血が巡る。
「やだ、離して、」
「逃がさん。俺のことセフレか何かや思てんの?舐め腐って…」
柳は舞の無防備な尻に自分の股間を当てがって今一度問う。
「ここでええやんな?キッチンセックス、」
「嫌だってば、」
「知らん」
左手には舞の肋を抱いたまま、柔らかいスウェット同士がゆるゆると絡み、柳によって外されたブラ紐は服の中でごわごわと彼女にその存在感を見せた。
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