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31(最終話)
しおりを挟む「高さは少し違うかな」
「あんまり気になんねぇよ?」
「ん、じゃあ僕の衣類はこのまま、本棚はナツの方に移動ね」
寝室をひとつにして、俺の部屋は物置き兼書斎になった。
払っていたひと部屋分の家賃は少し減額、その代わり俺は新たに部屋掃除もさせてもらえるようになった。
「俺、ちょっとずつ出来る男になってるな!なぁ、アキ?」
「ふふ、その調子その調子」
シーツを整えて、真秋は適当に俺をあしらう。
俺だって真秋を守れる。
スパダリはひとりで背負わなくたって良いんだ。
俺は真秋を養えはしないけど、助けることは出来る。
この先、何かの選択肢が出て来ても、真秋から離れて暮らすことは選ばない。
自信を失くしては育ててくれて、俺は真秋の包容力に心酔し切っている。
「なぁアキ、その…腹の調子は良くなったからさ、その…」
「なに、ナツ?」
少し埃の舞う寝室で、真秋が妖艶に微笑む。
「後で、抱いてくれよ」
俺は仕上げたばかりのベッドに乗り上げて、ぶっきらぼうにお願いした。
「……ふぅん?」
「あとは風呂入るだけだし、台所も片付いてるし、が、頑張るのはアキだからアキが疲れてなければ、なんだけど、」
「どうしよっかなぁ」
「い、いじわる言うなよ…」
そりゃ毎度毎度体力使うもんな、受け止めるだけの俺と違って真秋ばかり動いてる。
もっとおねだりしなきゃいけないかな、なるべく可愛げのある顔の角度なんかを咄嗟にシミュレーションしてみた。
けれど。
俺のスパダリは俺の腕を引き寄せて押し倒し、
「後じゃなくて、今からで良くない?挿れさせてよ、ナツ」
と激しい口付けをくれた。
俺の口は、NOなんて言葉を紡げはしない。
「…うん、挿れて、アキ」
四肢で真秋をしっかり掴んで、体表面から気持ちが伝わればなぁなんて思い…その唇がふやけるまで吸い付いて離さなかった。
おわり
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