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しおりを挟むうーん、と物思いに耽っていると、モゾと木南の手が俺の腰を抱く。
「え、」
「ごめん、うっかり」
「うっかり?ちょ、」
ぐらりともたれ掛かって来る木南の重さに、小柄な俺は勝てなかった。
「ぐえっ」
「ごめ~ん」
木南・枕・俺のサンドイッチ、床に打ち付けた後頭部が痛い。
ヤバい、通報と思うもスマートフォンはスウェットの尻ポケットで取れなかった。
「あんた、しんどいんじゃ」
「慣れてるんだってば♡常套手段だよ…なぁ、真秋が夢中になるってことは、すげぇ名器なの?俺にも味見させてくれる?」
「ふザけんナっ‼︎降りろ、出てけ、離せっ‼︎」
ジタバタするも、木南は動かない。
それどころか、枕で俺の視界を塞いでる間に両腕を掴んでねじ伏せてしまった。
「彼ピくん、寝取ったら…真秋はどんな顔すんだろ♡見てぇなぁ、見せてもらおっかなぁ」
「あんた、アキの親友なんじゃねぇのかよ」
「親友だよ、親友で悪友で、恋愛対象。俺はアイツのこと好きだったけど、抱かせてくんなかった。アイツの余裕そうな顔、崩してやりたいってずっと思ってんだ」
歪んでる、そう思うし俺が巻き込まれる正当な理由にはならない。
いくら体が大きいからって易々と突っ込まれはしない、でも暴力に訴えられたらどうなるか分からない。
ニュースなんかでも聞いたことがある、婦女暴行犯は何も無傷な女性を犯す訳じゃない。
殴って戦意を喪失させたり、気絶させて意識の無い状態をレイプする奴だっている。
顔を殴られたら、俺だって恐怖でゲンナリして言いなりになってしまうかもしれない。
木南が失うものの無い無敵状態だとしたら、恐いもの無しだ。
守るものが無ければ刑の大小も関係ないのだし。
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