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しおりを挟む「…こわ、」
階段で2階へ、夏だというのにゾワゾワと悪寒が走る。
捕食者から逃げる被食者の気分、というかもろにそれだ。
「『いれる』って、変な言い方してた…いれさせて、って『挿れさせて』ってことか?マジ怖ぇ」
尻に感じる恐怖、玄関をしっかり閉めてホッと息をついた。
「アキ、早く…」
着信に気付いたら折り返しがあるはずだが、まだ反応が無い。
1階にはまだ木南が居るだろうか、真秋が捕まっていないだろうか。
ぐるぐると嫌なことを考えていても仕方ない、家着に着替えてから洗濯物を確認しようとベランダに出る。
下着類もタオルもすっかり乾いて良い感じ、全て取り込んでリビングへと戻った。
やれ畳もうかと床に腰を下ろしたその時。
『♪♪』
インターフォンが鳴った。
「…木南?無視、無視…」
不穏な既視感でモニターを確認するも、画面は暗いままだ。
しかし勘違いではない。
エントランス用インターフォンの隣、個別玄関用のインターフォンのモニターがぼんやり明っていた。
「……なんで、」
俺は木南が動かないのを見届けてオートロックを突破したはずだ。
なのに木南は今、この家の玄関の前に居る。
どうやってオートロックを突破した、奴もキーを持っているのか。
『彼ピく~ん、中に入らせてよ~』
不気味な声がリビングに響く。
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