俺が不甲斐ないのは、彼氏がスパダリすぎるからだ！・２

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「あ、そうなんだ。ネコくん、またね～」

「黙れ、二度と来るな」

「仕事上、しょうがないじゃん…じゃあな、真秋」

「……」

　木南は最初よりも随分とくだけた話し方になっており、真秋との親密さが窺えた。


　玄関扉が閉まり、ゆっくり真秋がリビングへと戻って来る。

　その顔はげっそりと疲れていて、せっかくの鰻は効いてないように思われた。

「ナツ、ごめん…下で話してたんだけど仕事のことだから外部に漏らす訳にいかなくて…財布も持ってなかったから他に行けなくて。次は外で会うから」

「いや、ビックリした」

「僕が資料探して背中向けてる間に勝手に出たんだ…ごめん、何か言われてない？」

「彼氏かどうか聞かれた…いや、彼ピか」

　もうおっとりした真秋に戻っていて、ホッとする。

　荒々しいのは、セックス中だけで充分だ。

「なんて答えたの？」

「あの人にカムカウトしてるかどうか分かんなかったから、濁して、そしたらアキが走って来た感じ」

「ほぼ肯定だね」

「あ、確かに…だって、仕事関係の人にゲイだってバレて不利益があったら…」

「無いよ」

真秋は俺を抱き締めて、すんすんと頭の匂いを嗅ぐ。

　所有者を探ってるみたいな感じ、そんなの真秋しかいないのに。


「どした？俺、臭い？」

「んーん、木南に、イカ臭いって言われたの。それってナツの匂いでしょ？だからナツも臭いのかなって」

「…そんな、下ネタ話してたのか」

「アイツが下品なだけだよ…カマかけだったのかな」

「てか、あの人、何者？本当に仕事関係者か？」


　あの馴れ馴れしさ、只者ではない。

　歳が近いとはいえ、あんなにフランクに話せるものなのか。

　業界の長いベテランならまだしも、駆け出しの建築士が。