俺が不甲斐ないのは、彼氏がスパダリすぎるからだ!・2

茜琉ぴーたん

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「アキ、木南さんって人が来てる。お届け物だって」

 仕事部屋をノックしてそう伝えると、ドアの向こうからカタンと物音が聞こえた。

 そして

「木南…?なんだろ」

と、どうしてか真秋も木南のことを呼び捨てにして部屋から出て来る。

「インターフォン、繋がってる」

「ありがとう、ナツはここに居てね」

「うん」

 
 真秋の仕事部屋には水とケトルと各種飲み物を揃えてある。

 なのでキッチンを経由しなくてもおもてなしは出来るのだ。

 真秋はモニターを覗いて、受話器を取った。

「はい、」

『あ、真秋さん。うちの先生から書類預かってまして、お届けに』

「明日、取りに伺う予定でしたよね」

『これくらいさせて下さいよ』

 調子の良い男、という感じがする。

 まるで個人的に真秋に会いに来たのでは、と邪推できなくもない。


 真秋は俺の方をチラと見て、

「エントランスまで降りるので、待ってて下さい」

と告げて返事を待たずに受話器を置いた。

「……」

「ナツ、ちょっと降りて来る。すぐに戻るから」

「うん、お構いなく」

「…面倒だな…」

グチグチこぼしつつ、真秋は玄関へと向かい、出て行った。

 俺はすることも無く、再度ベランダに出ては生乾きのコットン100パーセントの肌着を触って「ふむ」と唸る。
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