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しおりを挟む「アキ、木南さんって人が来てる。お届け物だって」
仕事部屋をノックしてそう伝えると、ドアの向こうからカタンと物音が聞こえた。
そして
「木南…?なんだろ」
と、どうしてか真秋も木南のことを呼び捨てにして部屋から出て来る。
「インターフォン、繋がってる」
「ありがとう、ナツはここに居てね」
「うん」
真秋の仕事部屋には水とケトルと各種飲み物を揃えてある。
なのでキッチンを経由しなくてもおもてなしは出来るのだ。
真秋はモニターを覗いて、受話器を取った。
「はい、」
『あ、真秋さん。うちの先生から書類預かってまして、お届けに』
「明日、取りに伺う予定でしたよね」
『これくらいさせて下さいよ』
調子の良い男、という感じがする。
まるで個人的に真秋に会いに来たのでは、と邪推できなくもない。
真秋は俺の方をチラと見て、
「エントランスまで降りるので、待ってて下さい」
と告げて返事を待たずに受話器を置いた。
「……」
「ナツ、ちょっと降りて来る。すぐに戻るから」
「うん、お構いなく」
「…面倒だな…」
グチグチこぼしつつ、真秋は玄関へと向かい、出て行った。
俺はすることも無く、再度ベランダに出ては生乾きのコットン100パーセントの肌着を触って「ふむ」と唸る。
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