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 電話を切って十数分、真秋は家に着くなり俺を抱き締めた。

「わふ」

「ただいま、ナツ♡変わったこと無かった?すぐご飯用意するね」

「うん、頼む。洗濯物は片付けておいたから」

「ありがとー♪」


 るんるんと支度する真秋の背中を、まともに見れない。

 後ろめたい、吐いてスッキリしたい気持ちもある。

「……」

「ナツ、早い段階で着信入れてくれてたみたいだけど、何かあったの?」

「帰宅予定時間…になっても帰らないから」

「ウソ、予定より早い時間に入ってる。後だとしても、そんなにイレギュラーじゃないでしょ?数分遅れることはザラじゃん。むしろ、予定より1時間過ぎた頃には電話して来なくなってたし…その時間帯に何かあったんじゃない?」


 もしかして全て把握してるんじゃないのか、鋭い考察にビクッとなる。

 目が泳いでしまえば、それだけで真秋には充分な回答だった。


 真秋はクッキングヒーターの電源を切って、リビングの俺に歩み寄る。

「ナツ?」

「…仕事から帰ったら、下の玄関に木南さんが居たんだ」

「え、」

「仕事のことでって言われて、アポ取ってるかどうか分かんなかったからアキに電話した」

「…それから?」

真秋の目つきが、少しだけ険しくなった。
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