いつだって、そばに。

茜琉ぴーたん

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ブルマ

1・嘉島と陽菜子の場合

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 世代によって異なる文化と風習、現代では消えつつある化石衣類「ブルマ」について…それぞれの話し合い、の話。






 とある寒い冬の日、嘉島かしまはデートで恋人が身に着けていたスカートを指して「寒くないの?」と尋ねた。

「大丈夫ですよ、タイツとブーツでポカポカしてます」

陽菜子ひなこは片足で立ち片足をひょいと上げ、嘉島の視線を奪う。

「へェ…ならいいけど…タイツか…男もそういうのあればいいなァ、年々寒さがこたえるんだよね」

股引ももひきとかですかね、ふふ…小学生の頃もタイツでした。うちは県北だから結構寒くて…更にジャージとか」

田舎あるあるか、制服+ジャージは陽菜子にとっては当たり前の光景であった。

 しかし次に中年・嘉島が発した

「あー、ブルマとかは?」

という発言、これには20代前半の陽菜子はキョトンとしてしまう。


「……?」

「え?」

「ぶるま、って何ですか?」

「うそ、え、マジか、」

「すみません、物を知らなくて…調べます!」

「いいよ、いい!家に帰ってからね、」

嘉島はスマートフォンで検索しようとする陽菜子を止めて、デートを続けた。





「…ってことがあった。調べてみたら、ヒナちゃんが生まれる3年も前からブルマが廃止されだしたみたい…生まれる前だぜ?信じらんないわ…ジェネレーションギャップってこういうことなんだねェ…守谷もりやくんも聞いてみたら?写真くらいは見たことあるかもね」

「はぁ、うちとこのはあんまりメディアに触れてへんから知らんかもな…まぁ今度聞いてみますわ」


 よくある仕事終わりの駄弁だべりの席で、部下の守谷は少々ニヤついて応える。



つづく
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