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?月・最終章

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 時は流れて、某月。

「あの二人、揃って休みって…何かあんの?」

掻き入れ時の土曜なのに珍しく美月みつきは希望休…高石たかいしも同様なので激務になった千早ちはやは、恨み節半分に事務室の知佳ちかへ声を掛ける。

「昨日の夜から前乗りして、ミツキちゃんの実家に挨拶に行くんですって」

「へぇ、広島?ほな結婚とか?」

「それはまだ…とりあえず同棲?の挨拶だって」

「ほー…律儀やな」

 ヘラヘラしているようでキッチリやる時はやる、配送でペアを組む千早にも休むことを知らせていなかったあたりに高石の緊張感が窺えた。

 彼は意外と秘密があるのか…過去の風俗遍歴であるとか本当に腹の中で考えている事だとか、むやみやたらに相談してくる割に表沙汰にしないことも多いのだ。

「一応、ケジメというか…ちゃんと、って」

「ふーん…姉さんの家族、あんなデカい坊主が来たらビビらへんかな?」

「それは…大丈夫だと思う」

「へぇ?初めてとちゃうの?」

「ううん、初めてなんだけど……うーん、ミツキちゃんのお家ね、地元の土建屋さんで…大きい人が多いから慣れてるみたい」

「…ほんまに土建屋?実はヤーさんとかと違う?嬢さんぶってるけど妙な度胸があってなんや思うててん…車もさ、イカついし『お下がりだけど』言うてたやん、家族もヤカラとちゃうの、」

「うーん……さすがに違う……と思う…」

「タカちゃん……生きて帰って来いよ…」

 本人たちの知らないところで勝手に膨らむ妄想、千早もチカも高石の無事を祈って神妙に手を合わせた。
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