高嶺の花は摘まれたい

茜琉ぴーたん

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12月

48

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「当てんで」

温かい、ぬるぬる、硬い、肉の感触…美月はソコに神経を集中させて高石を受け入れる体制に入る。

 しかし。


「あ、…………ッ~~~きゃああ!!!!」

耳から脳をつんざくような悲鳴、高石は耳を押さえて彼女から離れ、掛け布団の上にストンと腰を据える。


「はぁ……あかんわ、ミーちゃん……」

高石の元気は削がれて萎んでしまい、二人で選んだスキンはぶかぶかと隙間ができて用をなさなくなってしまった。


「ごめ……なさ…い、だめ…だっ…た…」

えぐえぐとしゃくりながら、美月は無様な顔を隠す。

「今夜は…もう寝よ、焦らんでええから。な、大丈夫やから」


 体を丸めたままそれ以上声を発さない美月の頭を撫でること数分、高石は静かに息を吐きパンツを履く。

 そして飲み物でも…と立ち上がった時、部屋の内線が鳴った。

『…♪…♪…』

「きゃあッ……」

「ん、出るよ」

 それはフロントからで、「悲鳴が聞こえたと隣室の方から連絡があったのだが大丈夫でしょうか」との確認であった。

 あれだけの大きさの声だったから廊下の先まで響いたのだろう。

 やれやれ、美月がここまで声を上げることは想定外だったので、高石は今夜の計画自体が間違いだったとの結論に至る。

 なので

「すんません、うちのツレが…寝ぼけてまして俺を見て『お化けや』言うて叫びましてん…えらいすんまへん、へぇ、お隣にも申し訳ないですわ、ほほほ…」

と多少無理がある理由をこじつけて答えとし、何故か胡散うさん臭いほどの関西人を気取っておいた。


 受話器を置いて振り向けば美月はまだ顔を押さえて泣いていて、高石は隣に寄り添ってちゃっかり胸を触り、しっかり怒られる。

「なにすンのよっ、ばかっ」

「おっぱいくらい触らせ、ミーちゃん。俺は自信とゴム1枚を失ったよ、見るだけでも慣れてもらわな話が進まへん!」

「ふア♡」

 痛みと恐怖による涙は引っ込み、その潤んだ瞳は高石の辛そうに笑う顔を捉えて次第に閉じられた。

「おっぱいでイっとこうか、な、スッキリして朝までぐっすりよ、な、ミーちゃん」

「あ、っふ…んン♡ぁ、もぉ…すぐ噛ム……あ♡」

 年末年始は美月の家に同僚のゆいが長期滞在するようになっているのでお泊まりはできない。

 今のうちに充電しておかなければと高石は奮う。

「もう1泊すんのに…騒ぎ起こして恥ずかしなぁ、ミーちゃん。明日の朝メシは大広間で食うのに…」

「やだ…ふ♡どーしよ…」

「ジロジロ見られんなぁ、ミーちゃん♡…ミーちゃん♡」


 もぞもぞと愛撫すること数10分、美月は胸だけで昇天し、快感と自身のみっともなさにまた涙を流した。
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