高嶺の花は摘まれたい

茜琉ぴーたん

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11月

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 それぞれシャワーを使って就寝準備を済ませ、いつものように枕を並べる。

 美月はベッドで知佳へおつかれメッセージを打ち、高石を待って照明を落としスタンドライトの灯りに切り替えた。

「チカちゃんに?」

「うん、昼間の…いい写真ね、って」

「千早のワンショットのどこがええ写真やの」

「え?あたしにはチカちゃんの写真も来たわよ?グループで」

 千早は自身の写真は全員へ、知佳の写真は高石以外のグループへ送信していた。

「うわぁ…俺にチカちゃんを見せたないってことか…ぞっこんやん…」

「でも告白もしなかったみたい…もどかしいわね、グイグイ行くのかと思ったら堅実なのね、あのひと」

美月は少しお姉さんぶって、高石の腕へ抱き付き頬を肩へ寄せる。

「もう他の男の話はやめてや…ミーちゃん……」

SAサービスエリアのベンチで言ったのはスマートフォンから注意を逸らすための方便だったが、いまのそれは高石の本心からの言葉であった。

 少なくともベッドでは、美月の口から他の男の名前などつむがせたくもないし耳に入れたくもない。

「ふふっ…千早さんにやきもち?らしくないわねぇ」

「なぁ、ミーちゃん…昼間はあぁ言うたけどなぁ…、ミーちゃんがこのべっぴんな顔やなくても、性格に惹かれて俺近付いてたと思うねん、」

「そう?」

「性格は顔に出る言うやろ、俺はキツい人が好きなだけで、意地の悪い人が好きな訳ちゃうのよ。ミーちゃんがこの顔やのうても…同じ事になってたんと違うかなぁ」

「んー?」

「そもそも…最初のきっかけもなぁ、不良交換に俺が行ったやつな、帰り道の途中やったから…どっちにしても俺は行ってたけどな、その後にミーちゃんが頭下げてお礼してくれたり…そういうとこよ、」

「ふぅん…」

「友達思いなとこもええしな、仕事中のパリッとしてんのももちろん…男にすぐ告白する癖に奥手やし…ギャップだらけで一貫性無くて破綻してて訳わからんねんけどなぁ…好きやなぁ、うん」

「褒めてないだろうけど…ありがとう……」

美月は高石をまっすぐ見つめ、涙袋をたっぷりと持ち上げて笑んで見せた。

「あたしも、タカちゃんのそういう所が好き」

「うん?どういう所?」

「あたしの、中身とかを可愛いって言ってくれるところ。あたし、美人って言われることは多いけどね、」

「自慢か」

「ふふ、『可愛い』って褒められたこと無かったの。タカちゃんはいつもそうやって褒めてくれて…嬉しかった。年上だからかな?まぁそれでも…嬉しかったの」

「べっぴんで、可愛いよ」

高石は美月の前髪を撫で、反射的に閉じられた目元にそっと口付ける。

「きゃ」

「こんなんで驚いてるんも可愛い。コロコロ表情が変わんのも可愛いよ、広島弁が出るのも可愛い。ビビりやし、ベタな展開に弱いし…カフェイン摂ろうとして甘いカフェオレ選ぶんも…全部よ」

 少し瞳をうるうるとさせた美月はサッと目を伏せ、もじもじそわそわと高石へ擦り寄った。

「タカちゃん…なんか……むずむずしてきちゃった…キスしていい?」

「おーい、誘ってんのか…チューで収まる?またおっぱい吸うてええの?」

「わかんない…キス、しよ♡」

高石は初めて美月から熱烈な口付けを受け、彼女の香り溢れる寝具にも当てられてどうしようもなく滾る。

「ソファーでするんとは訳がちゃうよ、ミーちゃん…抑えが効かん…あーー」

「あ、タカちゃん、当たってる…」

太ももにごりごりと押し付けられた高石のその気配に驚くものの、どちらかと言えばくすぐったさが勝ってしまい不思議と慌てはしなかった。

「そら勃つって…あ、こんくらい許して…絶対これ以上はせぇへんからや…ミーちゃん、蟹挟みして、俺の片足挟んで、」

言われた通りに美月が高石の脚を挟めば、男はずりずりと小刻みに動いて彼女の太ももを犯し始める。

 唇は唇へ、手はその胸元を探って彼女の腕と攻防を繰り広げ、しかしキスに浮かされた美月は諦めて抵抗するのをやめてしまった。

 その代わりに高石のビンビンに勃った乳首を寝間着の上からギッと摘んで、答えも分かり切っているのに尋ねる。

「タカ、ちゃん…!あ♡もう…いいわ…あたしのおっぱい、好き?」

「好き、食べたい」

頬から唇を離してそう応えれば美月はふふと破顔わらって、もこもこのパジャマのファスナーを下げナイトブラを捲り、本日2度目のお披露目を行ってくれる。

「ミーちゃん、そういう…許可制は…俺興奮してまうんよ…あ、舐めてええ?」

「いいわよ、タカちゃん」

 大きい男が背中を丸めて女の乳へかぶり付く、湧き上がるこの気持ちは愛情なのか母性なのか、美月は唇を噛んでニヤつくのを我慢する。


 彼女が再び胸で昇天するまで、高石がパンツの中で暴発してしまうまで、セックス未満の二人のまぐわいはしばらく続くのであった。


「やだ…ズボンがベタベタする…」

「ごめん、あー…ノーハンド射精…ええわ…」



つづく
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