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9月・高嶺の花は摘まれたい
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しおりを挟む「…そう思われても仕方ないかな。ごめん。でも、タカちゃんは優しくしてくれるかなって思ったの。正直怖いし」
「あのね、俺だって経験で言うとそんなによ。風俗言うてもM性感がほとんどやし。でも安心して、施術すんのはニューハーフやから。初体験は当時の彼女やったけど、ここ3年くらいはちょろちょろやし。素人童貞みたいなもんやで。色々教えては貰ったから腕はあるかもわからんけどね、ほぼ本能よ」
「ちょっと何言ってるか分かんない…」
彼は場数を踏んでいると思っていたが案外そうでもなさそうで、美月は少し口を窄め塩っぱい顔をする。
「はぁ…にしても俺は毎回好きや言うてきてたのに…こんな形でしか一緒になれんとはね」
今ひとつ納得しきれず、高石はどこまでシてやろうかと決めあぐねていた。
「ミーちゃん俺はね、好き合った仲やないと抱けんよ…いや、風俗は別やけどね…。焦る気持ちもまぁ分かる、その大役に俺を選んでくれたんも嬉しいけどや…友達には手ぇ出されへん。嫌や」
太ももを撫で回していた手を離し暗がりでも判るようあからさまに口を尖らせれば、
「あ、あたしだって…誰でもいい訳じゃないの…」
と、美月もあたふたと弁解を始める。
「振られる度に慰めて励ましてくれて…決め手はって言われると…無いんだけど…。でも、スるんなら…タカちゃんがいいって…タカちゃんなら優しくしてくれるかなって…あと…、……、」
欲求不満が爆発しそうで、それを解消させてくれる相手に想定できたのは高石だけだった。
うまく説明は出来ない、所々に保身のための嘘も散りばめつつ高石を説得し、最後に美月は本心からの言葉を紡いだ。
「…………た、タカちゃん、あ…の………………好き…よぅ…ごめんなさい、こんな…誘い方しかできなくて…」
彼女は今心底、暗がりで良かったと思っている。
耳までじんじん鼓動を感じるほど赤みを帯びているのがわかるし、こんな顔を男に見せられはしない。
「…ええなぁ。うん、ミーちゃんが恥ずかしがってるんがレアでええね」
高石は口付けをして彼女のその温度を知り脚の愛撫を再開し、
「とりあえず俺を好意で選んでくれたんは分かったわ…『付き合わなくてもいいから』ってのも撤回してくれるか?俺はミーちゃんとは恋人になりたい」
そう告げると美月は太ももにさわさわと走る掠れた刺激に腰を浮かせながらコクコクと頷いた。
「ふふっ…ほな、その大役勤めたろやないか……ミーちゃん……太ももで挟んでみて?」
脚の間に手を差し込まれれば彼女は少し力を入れて、その手をグッグッと肉で押す。
「あー、これは金取れるわ」
「あとで頂戴ね」
唇を啄みながら足先から太ももまで感触を楽しみ、だがしばらくすると高石は手を止めて呟いた。
「…あかん、想定以上や。今日はここまでやな」
「触るだけなのに?」
「あかん、最後までシたなるから。ちょっとずつ慣らさんと。元々、今日はする気ちゃうねん」
「……さっきも言ってた諸事情って何よ?」
美月はずっと気になっていた…男性にも生理や危険日のように、できない日があるのだろうか、と。
「ん、今日はゴム持ってへんから。薬局ももう開いてへんし」
「…そんなことか……」
想定外の答えに、美月は拍子抜けする。
「いや、ミーちゃんへの誠意やから。今日じゃなくてもええんやろ?あと、体調はキチンと把握しといてよ?」
「うん…あ!あたし、近くのコンビニで買って来ようか…?」
「ありがたい申し出やけどなぁ、無理やねん。…………ミーちゃん、」
種類は少ないが入り口付近の棚に置いてあるのを見たことがある、照れながらスキンをレジへ運ぶ彼女を眺めるのも悪くないだろう。
しかし高石はその提案を却下した。
そして美月の耳元へ口を添えて、
「ごめんな、俺の、普通のじゃ、入れへんねん」
と悪戯っぽく囁く。
「………」
美月は目をパチクリさせ、いまいちピンと来てない様子で首を傾げるので、高石はもう一度ゆっくりと耳元に声を吹き込む。
「あのね、コンビニにある、普通のサイズのには、俺の、ハマらへんのよ」
「……………………あ!」
ぶああと美月は顔が熱くなり、しかし
「………あぁ。……そうなの?」
知った風にすまして見せた。
「しやから、また今度な」
暗がりだがおそらく真っ赤に染まっているだろう頬に大きな手を当て、高石はニヤニヤと嗤う。
「ソウナノ………」
「楽しみやな?」
「………うん」
「もう遅いわ、リビングで寝よか?」
高石がふぅーと息を吐き、その場を切り上げた。
「いいの?」
「寂しいんやろ?ソファーでならええよ」
「うれしい」
そう微笑む美月と、夏布団を持ってリビングへ向かう。
多幸感と共に乗り越えた色々な我慢が疲労となって襲ってきている、この分なら高石は朝まで美月に手を出さずに眠れそうだった。
「ほな、おやすみ」
「おやすみ♡」
明日は彼女と何をしようか、とりあえずモーニングでも食べに行くか、この服装で行けるかな、高石は床の敷布団の上で色んなことを考える。
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