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?月・最終章

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 「お前なんかに娘はやらん」と言われてもいい。

 平伏しながら「とっくに俺のちんこで鳴かせたってますけどね」と腹の底で舌を出して笑える。

 「お前に娘を幸せにできるのか」と問われれば「昨夜はバックで突かれて幸せそうにしてはりましたけど」と返してもいい。


「フぅ、あぁッ♡タカちゃん♡あ、すごぉ、い、」

「ええ褒め言葉やなッ」

「あフ♡あ、きゃ、」

腰の揺れに任せて美月の肩から腕が崩れて、カクンと頭が布団へとついた。

「大丈夫か?」

「うん…あ…くらくら、する、」

「うし…ほなら、体起こして、そう…抜いたらあかんよ、うん…上手やで、」

「ん……なに、」

 上体を起こさせて高石は脚の間に彼女の身体を収めてがっちりと挟み、

「ミーちゃん、膝立ちになって、大丈夫、倒れへんから」

と肩を掴んで引き寄せた。

「え、あ、」

「倒れへん、離さへんよ」

 互いに体が引き合いバランスが取れて、美月は弓のように背中をしならせて膝を閉じる。

 そして中腰の高石がずんと動き出せば、突き上がる衝撃にまた声を上げた。

「あッ♡なに、これッ、あ、はあッ⁉︎や、あッ」

「セクシー男優が考えた体位、中イキ、しやすいらしいねん、」

「なに、そ、れッ?ひあッ♡や、あ、たかちゃ、は♡」

「逃げられへんぞ、ミーちゃんッ♡」

 高級車のエムブレムの形に似ているからと名付けられた変則背面座位、突かれる方向に腰は押されるがリュックサックのように高石の腕が肩を捕まえて逃げられない。

 かつてない支配される感覚に美月の心に不安が押し寄せる。

「やッ…あ、たか、ちゃ、こわ、い、」

「恐い?なんで、」

「かお、見れな、いィ…」

「見れたらええの、振り返れる?」

「できな、い、タカちゃん、向かい合って、普通が、いい、」

感じているとはいえ後背位はどこか一方通行で、彼がどんな表情かも分からない。

 しいたげられている気分で心と体に解離かいりが生まれて…美月は完全には楽しめなかった。

 ただし体はたいそうよろこんでいて、それを体感している高石はやめられるはずがない。

「ほほ、ぎゅうぎゅうやぞ、なぁミーちゃん♡虐められるんも好きやけどなぁ!ミーちゃん虐めんのも好きやねん、ちんこビンビンになるわ、男の、本能やろうなぁ、なぁ!」

「ひグ♡や、あ、」

 汗で手が滑ってもひじを捕まえ、そこも駄目なら手首を捕まえ、組体操のサボテンのように互いの体重で互いを支え合う。

 重さは勢いに乗って男をより奥へといざなって、5分、10分と時間が経つにつれて吸着しているように滑りが悪くなる。


「んッ、吸い付いて…離さへんなぁ、そろそろか?オらッ♡ミツキ、ん♡ミツキ♡」

「ばかぁ、やだ、ひン♡それ、あ、当たって、あ♡」

「イけるかな、ミーちゃん、あ、愛してる、」

「愛、」

 それは高石が3年温め続けた恋の成果、安直で陳腐な言葉だが本来ロマンチックごとが趣味の美月のハートには効果覿面てきめんで…

「ッ♡♡♡あフ♡あ、あア♡」

洋モノのポルノ女優の様に大きく唇を開き声をあげて彼女は快感の天へと召された。


「おー…お、お♡♡♡あ、ミーちゃん、ちゅーしよ、ん、ん、」

 繋がったまま崩れながら、絶え絶えの息で美月は高石の唇をみ、ぬるっと結合から解き放たれればシーツへ尻をついてくらくらする頭を抱え休ませる。

「はぁ、ふー……ん…」

「大丈夫?ミーちゃん」

「うん……タカちゃん、なんか…凄いのね、あたし、どんどん感度が上がってる気がするの」

「そう?そりゃええね」


 裸でぎゅうと抱き合って、口づけをかわして、また交わって、愛の何たるかを体で語らいながら…この夜は美月も真っ裸で白いシーツに包まって眠った。
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