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2月

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 それから高石は美月の生理が終わるまで彼女の家に泊まり込み、あれやこれやとできる範囲で世話を焼いた。

 料理はできないので出来合いのものを買ってきたり、ゴミを捨てに動いたり、とにかく煩わしいことを無くして甘やかす。


「ただいま…いい匂いね…ごめん、タカちゃん…あ、朝のお皿も洗ってくれたの?」

「うん、レトルトやけど。今、スープ用に湯沸かしてるし…ブロッコリーは茹でたから、野菜もバッチリよ」

「足りないわ…冷凍にミックスあるでしょ、スープに入れましょ、…んもぅ、」

 1日に摂取すべき野菜の量でも決めているのか、主菜をレトルトに頼る代わりにせめて副菜と汁物に力を振りたいと張り切る美月の、屈んだ腰へ高石は貼り付いて抱き締めた。

「うんうん、元気出てきたね、」

「うん…タカちゃんが色々してくれるから助かっちゃって…いいお婿さんになるわよ、ふふ♡」

 まるで新婚家庭の様、高石はバックハグをしたままトコトコと寝室までついて行く。 
 
 そして美月が壁の照明スイッチをパチンと押せば、離れて彼女の着替えを見守った。

「ミーちゃん…お婿に貰ってくれる?」

「え、うちはお兄ちゃんが跡取ってるけど…刈田かりた純平じゅんぺいになりたいの?」

ワイシャツを脱ぎ捨ててセーターをかぶり、頭を抜けば静電気で髪の毛の筋が数本立つ。

「いや、そこまで深くは考えてへんかった。高石美月になってもええよ」

「あら…いいわね」

 静電気を逃がしながらブラシで髪をとき、美月はニマニマするもののハタと真顔になって

「……え、もしかしてプロポーズだった?」

と高石へ尋ねた。

「ちゃうけど…いずれはそのつもりやけどね」

「きゃ……ならそうね……また今度、うちに…実家に遊びに来て?家族にタカちゃんを紹介したいわ」

「おぉ、そら嬉しいね…ん、湯が沸いた。食べよ」

「うん♡」


 二人は手を繋いでキッチンへ向かい、「熱い熱い」と言いながら2日ぶり3回目のハンバーグに舌鼓を打つ。
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