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2月
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しおりを挟む「…車が故障したのはもう知ってるわよね…ユイちゃんが転勤して寂しいってことも」
「うん、」
「あとね、知らないだろうけど…ホルモンバランスの変化で生理前にPMSっていう…自覚したの初めてなんだけどね、イライラしたり不安になったり…肌荒れもひどいし…」
「そうかね?」
「そうなの!今みたいに生理でダルいのも初めてだし…あと、新しい副店長とはソリが合わない…男尊女卑が滲んでて嫌ね…だからうちのフロア長が不在の日とか副店長に値下げ交渉するのが億劫で……強気に交渉しきれなくて競合に負けたりお客様に逃げられたり…」
勢いが増して元気はあるが端なかったか、自分の問題を人になすり付けたように感じた美月は少しトーンダウンした。
「…こんなこと初めてなの…どんないけ好かない上司にだってニッコリ笑って愛想できてたのに…イライラして避けたくなっちゃって…ダメなの、大人なのに……こうやって悲観的になっちゃうのも……珍しいでしょ?」
「うん…失恋ではいつもこんな感じやったけどな」
「忘れてよ…もぅ…タカちゃん、最後貰っていい?」
数切れに箸で割ったハンバーグの欠片を指差して、上目遣いでおねだりをする。
「もちろんよ。しっかり食べてぇな」
「ありがとう…」
「しかし…車もユイちゃんの転勤もさ、偶然というか不可抗力やんか。ミーちゃんの行いで変わることとちゃうし…副店長とやらはまぁほどほどに付き合えばええんやしな、うん…体のことは俺には分からへんし……病院とか行ってみよか」
「うん…サプリメントとか……考えたことなかったな、外側は磨いてきたつもりだけど内側のことは…生理周期も安定してたし…タカちゃんとエッチして…何か変わったのかしら…」
「俺のちんこにそんなパワーあれへんよ」
高石はニヒルにフッと笑い、分かりやすく股間を手で隠した。
「あたしの問題よぉ……初エッチからこっち、色んなことが起きてて…」
「俺は疫病神か」
「違うってばもぅ……あたしの中で、何か動いてるのよ。普通なら乗り越えられるような事もくよくよ考えちゃう、このメンタルが問題なのよ…」
「車も直れば戻ってくるしな」
「そう、ユイちゃんは引っ越したけど市内だし…気に入らない上司だってどうでもいいんだけどね」
そんなことを話しながら食べ進めて、8分目まで腹を満たした美月は箸を置き、背もたれに背中を付けてひと息つく。
「ふー…ほな、そのくよくよメンタルやな、どうやったら幸せ感じるか…」
「チカちゃんはね、手芸とかいいって言ってた…同じ動作を繰り返すみたいな…幸せホルモンが出るんですって」
好きなだけ食べた高石は立って美月の背中側へ回り、
「ふむ……同じリズムで突けるように頑張ろか」
とバックハグで背もたれごと抱いて腰を打ち付けた。
そして
「…何言ってんの……いやぁね、もう………タカちゃん…真面目な話してるのに…」
と吹き出した彼女に被さるようにキスをして、
「………ふふ♡」
と可憐に笑わせる。
「ミーちゃん、楽な姿勢でさ、くっついて寝よや」
「うん…あ、お風呂先に済ませてきて?ここ片付けちゃうから」
「いや、俺片付けるから先に入りな…これ洗うだけやし」
「分かった…ありがとう♡じゃあ済ませてくるわ」
高石は使った皿や箸を綺麗に洗い、大量に出たレトルトのパックもきちんと分別してゴミ箱へと入れた。
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