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12月・おまけ
反省会
しおりを挟む12月も終わり頃のある夜。
「千早、まぁ飲め」
「なんやの…お冷ややんか」
よく行く定食屋で晩酌…ではなく晩飯を摂ろうと集まった高石と千早、なんと今夜は高石の奢りなのである。
「食いながらの話で悪いんやけどな、そのー…チカちゃんと、どこまでシた?」
「なんでお前に答えなあかんのよ、アホか」
お前なんぞに彼女との性事情を明かせるか、千早はバッサリと質問を切り捨てた。
「いや、結局うちのとこはまだまだなんやけどな、一般的にはどないなんかなーと思てな」
「は、インターネットでもなんでも調べろや、俺に聞くな」
ごもっともな意見を貰って高石は項垂れ、大きな体でサバ味噌をちびちびつまみ出す。
その姿があまりに滑稽だったため、千早は少しだけヒントを与えた。
「付き合いだして3ヶ月…とか相場ちゃうの?今時はもっと早いか?」
「ほう…うちはなかなか…あかんな…」
漠然としたエロ話や下ネタならともかく、知った人間の性的な話はどうも生々しくていけない。
千早は聞きたくなさすぎて顔をしかめる。
しかしながらあの美人…美月がどのような様子なのか、それくらいは聞いてみたい気がしたので止めはしなかった。
「ふーん…身持ち硬いねや、姉さんええ女やん」
「せやろ、しやけどな……怖気付いてもうて…まだまだ慣らさな、…こう、どないしたらええんやろ、」
「そこまでは聞きたないな」
千早は付け合わせの小鉢の煮物をパクパクと口に運び、一旦箸を置いてメインの唐揚げにレモンを絞る。
「そない焦らんでもええやん、温泉なら裸も見たやろうし」
「見てるけどや…叫ばれて続行不可よ。辛抱が…しんどい…」
「堪らんからって風俗とか行きなや、嫌われんで」
唐揚げをおかずに飯をかき込み、千早は茶碗から覗かせたギョロ目で高石を睨んだ。
「行かへんよ、行くかいな…ミーちゃんでしか勃たへん…嘘やけど」
「お前のちんちんの話なんか聞きたないわ。早よ食え、俺は帰ってチカちゃんと電話すんねや」
そう言って千早は唐揚げをひとつ高石のサバ味噌の皿の上に置き、残りのサバを半分掻っ攫って飯にバウンドさせてそのまま口へ入れる。
「おい、何すんねん…」
「唐揚げ1つやんねんからええやろ、お前も帰って…姉さんと電話でもしぃや」
「うーん…それもせぇへんのよ…ミーちゃんはスマホにあんまり執着せぇへん…撮りためた恋愛ドラマとか観てんねん…」
とはいえ高石は美月のマンションへはよく入り浸っている…一緒にいる時間が長いからこそ、当たり前に我慢する回数も増えて辛いらしい。
「あっそ、さっぱりしてんねや、ええ関係やがな」
「もっとイチャイチャラブラブしたいねんな…」
「へぇ」
心底どうでもいいし聞きたくない…千早は味噌つゆが染みていく唐揚げを見つめながら、気のない相槌だけを打ち続けるのだった。
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