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11月
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しおりを挟むひと月後、11月に入って最初の週末。
美月と高石は連れ立って飛鳥と潤が暮らすマンションを訪れていた。
「お邪魔しまーす…わぁ、広い!」
「どうぞー、ミツキちゃんのマンションとそう変わらないと思うよ?」
「うそぉ、うち2LDKよ?ここもっとあるでしょ…」
きゃいきゃいとはしゃぐ女性陣に目を遣りつつ、高石は家主へ持参した土産を手渡す。
「こんばんは、ども、これ…」
「ありがと、上がってよ」
広いリビングには洗練された家具、座卓には今まで作業していたのだろう飛鳥の仕事道具のノートパソコン。
キッチンには使い慣らされた調理器具と調味料が整理されて並んでいた。
「料理する人の台所やな…上手なんすね」
高石がそう言って潤を振り返れば、彼女は真顔で口を一文字にして飛鳥にヘルプを出す。
「ふは♡それはボクのだよ、うちの奥さん、料理はからっきしだから♡そこが可愛いんだけどね、ね」
「不得意なのよ…しょうがないじゃない…」
「ジュンちゃんはそのままで良いんだからね、家事能力ゼロ♡さすがに電子レンジの使い方は覚えて欲しいんだけどね」
「つ、使えるわよ!」
突如始まる清里夫婦のイチャイチャにドギマギしながら、美月と高石は促されるままにダイニングテーブルに着きもてなしを受けた。
家庭的だがお洒落な夕食、デザートには手作りのスイーツもいただき、高石が渡した土産のプリンも出されしっかりと腹を満たしたのだった。
「ごちそうさまぁ♡美味しかった、いいわね、ジュンちゃん、こんなしっかりした旦那さんで♡」
「ほんと…正直、助かってる…」
「あ、お腹大丈夫?少し休む?」
「うん…アスカごめん、ちょっと横になってる…高石さん、ゆっくりしていって下さいね、」
潤は美月を伴って寝室へ下がっていく。
「はいはーい…………胃袋と玉袋掴んどきゃ、逃げられないよねぇ、ふは♡」
「所長にはタマは付いてへんでしょ…アスカさん、嫁さんにも結構…上からな感じなんすね」
飛鳥は食器を片付けながら、高石はその様子を覗き込みながら会話を続けた。
「上からというか…まぁそうだね、お世話したいんだよ。支配かもしれないね、ボク無しじゃ生きていけないくらい…支配したい」
「それがアスカさんの愛なんすねー…」
「なんだよ、お前の玉袋も握ってやろうか?あ?」
半面を歪ませて悪い顔をする飛鳥に気圧され、高石はリビングのソファーへと逃げる。
「浮気はあかんのでね、俺はもうミーちゃんにしかちんこは触らせへんって決めてるんでね」
「ふーん、ケツは?マッサージしてやろうか?」
「いや、そういうのもあかん、」
軽く曲げた指をわしゃわしゃと動かすその仕草に高石は危機を感じ、尻をしっかりと座面に付けて膝を閉じた。
「我慢は良くないよ?溜まるだろ」
「ええの、お預けもご褒美なんで…」
「へぇ…頑張るね」
水仕事を終えた飛鳥がリビングに来て隣に腰掛けると、その軋みに高石の肩がビクンと上がって目が泳ぎ出す。
「ここ寝て?揉んであげるから」
「は?あきませんって、向こうミーちゃんも居んのに…」
「悪いようにはしないよ、うつ伏せな」
「は…?」
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