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9月・高嶺の花は摘まれたい

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 まぶたが落ちて、次の瞬間にはもう朝で…高石は随分と熟睡してたようだった。

「うわ…」

毎度の生理現象だが、タオルケットの下で高石はいきり立っていた。

 起き上がってみると美月はまだ寝息を立てて、かけたはずの夏布団はソファーの下に落ちている。

 上着がめくれてヘソが見えて、いやらしさを感じる前に高石はそーっと起き上がり、風呂場へ逃げた。


「(円周率でも暗唱するか…?覚えてへんな。…こっそり抜くか…?)」

 洗濯機の中では、高石の作業着が脱水にかけられている。

 高石はささっと服を脱ぎ、シャワーを借りることにした。

「(………案外、隣におっても寝れるもんやな…長年の忍耐力の勝利…)」


 脱衣所で部屋着を着直し、いつのまにかたかぶりも収まったのでトイレを借りる。

 いろいろな事がトントン拍子に進んでいって、達成感より物足りなさを感じた。

 抜いてもいないのに賢者タイムに入ってしまったようだ。


 洗濯終了の電子音が聞こえて取り出しに行くと、水を通した作業着は脱水後とはいえだいぶん重たくなっている。

 これを彼女に持たせるのは忍びない、高石は自分で一式を取り出した。


 リビングへ戻ると美月が目を覚ましソファーに腰掛けていて、高石に気付いた彼女は慌てて髪を直す。

「!おはよう」

「おはよう。シャワー借りててん。起こしてもうたかな」

「ううん、洗濯機の音で」

「…なるほど。ミーちゃん、物干し場どこ?」

「はいはい、そこ」


 ベランダに面する掃き出し窓を開けてもらい、高石は物干し竿を直接作業着の袖へ通した。

「天気がいいから、夕方までには乾きそう。良かった」

「せやね。それよりミーちゃん、背中痛ない?」

「んー、少し。やっぱりベッドじゃなきゃダメね~」

「しやから言うたやん、どこ、指圧得意よ」

 高石が隣に腰掛けると美月は斜めに座り直し、痛い箇所を教えてくれる。

 髪の毛を前に流して、もたげた首筋が白くて色っぽくて、数分前なら爆発して襲っていたかもしれない。

「ここかな?」

 背中のポイントを親指で押していくが、押さえただけ前にぐぐぐと倒れるので余り効果が無い。

「押せないわよね、寝るわ」

「はぁー……楽にね、適当に押してくで」

 美月が自分からソファーにうつ伏せになりどこまでも無意識に男の理性を試すので、高石は力が入り過ぎないよう加減をしながら、ありがたく背中を押させていただいた。

「ウン…ンっ、ぐあ、あン、ンー、ふェ」

「はぁー、適度に残念な感じで助かるわ」

「なに?…ぐぇ、ン♡、ンー、」

 喘ぎにも聞こえる妖艶な声に間の抜けた合いの手が入り、なかなかどうして男は興奮しきれない。

 細い背中を全体的に押してその感触と美月の声を堪能し、最後に両肩を揉んで

「…もうええやろ。伸びしとき」

と起こしてやった。

「うん、ありがと。のびー」

そう言って彼女は座ったまま両手を上げて伸びの運動をする。

 その二の腕の内側が白くて柔らかそうで…

「ミーちゃん、そんな隙を見せんのは俺の前だけにしてや」

高石は美月を立たせて後ろへ回り、万歳の手首をそれぞれ掴んで天井へ向けて引っ張ってやる。

「うあー、あ、のび、た」

 そしてゆっくりと手を下ろし、隙のできた後ろ首へ、ちゅっと口を付けた。

「きゃあぁ!」

「すきやな」

「好き?」

「隙、がある」


 振り向いた美月としっかり対面して抱き締め、高石は安堵し…

「はぁ、夢ちゃうかった」

「うん、」

爪先立ちの彼女と軽くキスをして、しばらくお互いの温もりを感じ合った。

「腹減ったな…」

「うん、何か作ろうねー、………あれタカちゃん、ポケットに何か入れてる?こ……きゃあッ」

 それは復活した漢のたけり、これだけ触れ合ってこうならなければ逆に失礼というものである。

「…バレた。生理現象やから許して、ここまで我慢してんねんから、俺は自分を褒めてやりたいくらいやわ…ハハ……触ってみる?」

「え……いいの?痛くない?」

「エ」

自分をさげすむ眼差しをさせて楽しもうと思ったのに予想外の返事で、高石は間抜けな表情で固まってしまった。

「そら嬉しいけど…平気?」

「ん…ちょっとなら……慣れときたい…」

「俺の方が平気ちゃう…けど…あー、ええよ…」

彼女の度胸に敬意を表し、高石は美月の手を取り服の上からパンパンに膨れた股間に触れさせる。

「ゎ……わー……」

「アあー、ありがとうございます」

「ナニソレ……ゎ…あたし…よく知らないんだけど…その、…ゴムってそんなに…お、大きさに種類あるの?」

「ン~、ん、あるよ…大きいドラッグストアとかやないと置いてへんな。それか通販…ぁー♡…ん?意外と照れへんね」

「照れてるわよ……でもどんなモノかくらいは知ってるし……服の上なら…タカちゃんのなら平気…あ、写真で見たのはちょっとイヤだったけど…」

「ハァ?」

「いつかの元カレにスマホで見させられたことがあるの…露出系の変質者にも遭うし…SNSなんかだと送り付けてくる人もいるしね、ははは…」

「美人は大変やなぁ……けしからんね…ぅあ…あかん、ミーちゃん、終いや」

「ん、ありがと…」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「だからなんなの?それ…」
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