胸に手を置かれたら、朋也くんのことしか考えられないじゃん。ー無気力系後輩がグイグイ来るのは想定外でしたー

5…胸が塞がる

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　すうっと、頭が冷静になる。

　これまでの彼氏も、私のこういうところが嫌になったのかもしれない。

　自己嫌悪と情けなさに口があんぐりと開いてしまう。

「…どういう表情すか」

「ショック。朋也くんの言う通りだなって」

「生意気言ってすんません…ただ、美紀さんはジブンの誘いを断らないんで、負い目とかあって断らないんならそれも悪いなとか思ったり」

「朋也くんのこと好きだから、断れないよ…」

　伝わるのだろうか、ややションボリの朋也くんにキスをした。

　言葉でも体でも伝えていたつもりが、まだ足りなかったみたいだ。


「変な空気にしちゃってすんません。別れたいとかそんなんじゃなくて。もうちょい、一緒に居たかっただけなんで…」

「悩ませちゃってごめんね…」

「いえ、美紀さんの卑屈なとこも分かってるつもりなんで」

「すまないねぇ」

　額ひたいをくっ付けてふふと笑い、鼻の動きで察して目を閉じる。

　フェイスラインをしっかり抑えられて、がっぷり唇を食べられるキス。

　息継ぎは鼻から、朋也くんの顔に掛かってしまうのが何だか嫌だ。


「っ…美紀さん、ジブンが今、思ってること、分かります？」

　朋也くんは飢えた獣みたいにハァハァ息をする。

「う、ん…」

「言って、美紀さんから、」

　手の熱、頬の熱、唇の熱で分かる。

　ここは外したら冗談で終われない。

　私は膝立ちになり朋也くんの頭を抱いて、

「朋也くん、エッチ、しよ」

と小さな胸に押し付けた。


「……」

「な、何か言ってよ！」

「いえ、想像以上に良かったっす」

「何がよ…」

「ジブン、結構お姉さん属性もあるみたいです」

「……」

　リードしろってことかな、笑われないかな。

　朋也くんも知っての通り、私は気取った振る舞いが出来る大人ではない。

　だからクールなお姉さんにはなれそうにない。

　でも、やれる事はやってやろうという先輩心はある。

　パジャマの下は、一応夜を想定した勝負下着だ。

　さっきまで、部屋に入ったら普通のに着替えようと思っていた透け感の強いものだ。


「…朋也くん…部屋、来て」

「…うす」