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4…胸が高鳴る
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しおりを挟むほどほどに呑んで料理を楽しんで、そろそろ私の首が据わらなくなってきた頃。
「美紀さん、ぼちぼち出ましょうか」
矢向くんは伝票で私をパタパタ扇ぐ。
「うん、そだねぇ…はい、私の分」
「はい…歩けます?払って来るんで動かないで下さい」
「はーい」
とっても良い気分で、私は彼が戻るのを待った。
「お待たせしました…出ましょう、捕まって」
「うんん~」
情けない先輩の私は、矢向くんの腕にしがみ付いて店を出る。
まさに千鳥足、進んでるんだか進んでないんだか分からない。
「…良いのかなぁ、こんなんで」
矢向くんは、ぽつり呟く。
「ん?なぁにが?」
「ホテル、行こうと思ってたんすけど、ここまで酔われちゃうとロマンチックになんないんすよね」
「…うん?」
「抱くのは簡単なんすよねー、でも意識が朦朧としてたらそれはセックスじゃないし」
「矢向くん、赤裸々が過ぎるよ」
さすがに、理性がひゅんと戻って来る。
イエスとかノーとかの話ではなく、誘われようとしていたのにベロンベロンになってしまった事態が恥ずかしい。
そういえば、彼は「呑むと都合が悪い」みたいなことを言っていた。
矢向くんはスマートに私をエスコート出来るように考えてくれていたのだ。
「…どうします?美紀さん」
「あ、えーと」
「ジブン、そろそろ…シときたいんですよね。胸も見たいし」
「そんな、大層なものじゃないし」
「見なきゃ批評は出来ませんて…美紀さん、」
しがみ付いていた腕に、ぐいと押し返される。
胸に当たる肘、矢向くんはふいと目を逸らした。
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