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3…胸を張る

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 始業前、総務部の社員旅行幹事に朝の一件を伝えて班の変更を申し出た。

「…だから私がBからCで、茨田まつだちゃんがCからBに変更、しおりも交換してる。大丈夫かな」

「大丈夫だけどさぁ…元宮っちが犠牲になることないのに」

幹事の左崎ささきさんはそう溢し、名簿に書き込みを加える。

「丸く治るなら、ね」

「良い人過ぎぃ…はい、変更しときまーす…んで、矢向っちは何用?」


 左崎さんの目線が向けられた矢向くんは名簿を指差して、

「ジブンも、BからCに変更して欲しいっす」

と突然の提案を繰り出した。

「ただの変更?」

「いや、うちの端本はしもと係長と交換っす。お子さんの懇談がずれ込んだらしいんすよ。奥さまもその日は仕事らしくて」

「あ、そうなんだ」

「ご家族は同伴されないそうなんで、ジブンと係長単体の交換で済むんすけど」

「オッケー、端本係長にも変更したって伝えておいて。しおりも交換しといてね」

「ども」

「(矢向くん、さっき、何も言ってなかったじゃん)」

 隣でなされるやり取りを眺めて、「本当かよ」と心で呟く。


 疑いの眼差しで矢向くんを睨みつつデスクへ戻れば、彼は離れ際にボソッと

「この件は、また夜に」

と囁いて行った。

「……はぁ、」

 結局私たちは同じC班の日程で社員旅行に参加することになり…嬉しいけれど何だか腑に落ちないまま仕事することとなった。
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