胸に手を置かれたら、朋也くんのことしか考えられないじゃん。ー無気力系後輩がグイグイ来るのは想定外でしたー

茜琉ぴーたん

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2…胸が躍る

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 社屋の玄関を出た所にキッチンカーが来ていたので、そこでランチを買うことにした。

 蓋付きの容器には甘いタレの掛かったロコモコ丼が入っている。

 近隣の会社の人も買いに寄っていて、うちの敷地内の芝生広場で食べている人もチラホラ見える。

 私もそこに紛れて、ベンチでご飯を頂くことにした。


「美味ぁ」

晴天の下で温かいご飯、この上ない幸せだ。

 矢向くんは今頃社食だろうか、お弁当派ではなかったように思う。

 ここからどんどん仲良くなって発展して行くんだろう、それがベストなんだろう。

 しかし1週間前のあの飲み会まで意識をしてなかったのに、突然「好き♡」となるのもおかしい気がする。

 どちらかが先に好きになって、告白して、意識して惹かれるのは当然といえば当然の流れなのだが…どうも調子が良すぎる気がしてならない。


「(ただの後輩だったのに、ヒョイっと恋人ムーブするの…何だかなぁ)」

 うーんと頭をひねっていると、

元宮もとみやさん、ここ良いっすか」

と渦中の矢向くんが見下ろして来ていた。

「あ、うん…矢向くんも外で食べたりするんだ」

「元宮さんがフロアに居ないから、追いかけたんすよ」

 彼の手には食べ物が何も無い。

 本当にとりあえず私を探して降りて来たようだ。

「そこでロコモコ丼売ってるから、買って来なよ!美味しいよ!」

「…逃げません?」

「逃げ…ないよ、食べ終わるまでは動かない」

「本当っすか…マジで、そこ動かないで下さいよ」


 矢向くんはゆるゆると、キッチンカーへ向かう。

 私は逃げないと宣言した手前、大人しく彼を待った。
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