胸に手を置かれたら、朋也くんのことしか考えられないじゃん。ー無気力系後輩がグイグイ来るのは想定外でしたー

茜琉ぴーたん

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1…胸に手を置く

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 しばらくするとドアの開閉音がして、矢向くんが出て来たらしいことが分かった。

 最高に眠たいので半目で眺めていたが、白い肌着にスラックス姿な矢向くんは思いの外セクシーだった。

「すんません、お風呂いただきました」

「ん、良いよー…」

「…あの、元宮さん、よく寝てられますね」

「…何が?」


 間抜けな半目の顔に、影がかかる。

 マットレスに矢向くんの左手が沈んで、ギィときしんだ。

「…元宮さん、部屋に男泊めて危機感とか無いんすか」

「……え、無いけど」

「何でなんすか、女でしょ」

「いや、胸も無いしさぁ」

「無くないでしょ、小さいだけでしょ」

 なんだそのフォロー、半目からパチクリパチクリ瞬いて空気に角膜を慣れさせる。

 濡れた髪の矢向くんはいつもより感情的というか悔しそうな表情で私を見下ろしていた。

「へ、いやぁ、私を襲いたい人なんて」

「これまでに彼氏いたんすよね、抱きたい人だっているでしょ」

「抱…ごめん、矢向くんを異性として意識しなかったんだ、なんか妙に落ち着くというか、酔ってるとはいえ部屋に入れちゃったし」

 そもそもが私の落ち度なのだ、酔い潰れてクダを巻いて送らせて。

 その上矢向くんを意識して警戒するなんて恥知らずの恩知らず過ぎるだろう。


 謙遜を放り出すと矢向くんは「ハァ~」と大きなため息を吐いて、

「ジブンが、いま、こうしてんのに、ドキドキしないんすか‼︎」

と顔を更に近付けた。

「……」

「ドキドキ、しないんすか、ジブンはしてます」

「それはお風呂上がりだからじゃないかな…」

「腹立つなぁ」

あばあば目を泳がせていると、矢向くんは私から掛け布団を剥ぎ取り足元へ投げる。

 そして空いた右手を私の左胸に、つまりは心臓の上に置いた。

「…な、に…」

「……ドキドキ、してるじゃないすか」

「そりゃあするさ、何触ってんの!」

「昨日は胸、見せてくれたじゃないすか」

「服は着てたじゃん……あの、離して…」


 薄手のパジャマと綿のナイトブラを通して、矢向くんの手の熱が肌に伝わる。

 指の脈動も分かるくらい、風呂上がりだから余計に元気にピクピク動いている気がする。

「…ムネムネって、酒の席で連呼して…痴女じゃないんすから」

「あの…それは改めるから…あの、あ、」

「ジブンに100パーの非があるとは思いませんから…情状酌量を希望します」

「はい?…ッ…ほわ」
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