先生、マグロは好きですか?

茜琉ぴーたん

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2019・薫風

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「あ………は………ん、今便器って言った?」

「は、聞いてた?怒んなよ…ん…怒った顔も可愛いね、抵抗できなくて更に可愛いね、ジュン、ボクのお姫様だよ」

「べんき…」

怒る権利はあるはず、潤は避妊しなかったことや宣言云々よりもそちらの方に腹が立っている。

「ふは♡シチュエーションがね、『ご自由にドーゾ』って感じ……あ、睨む目も可愛い…ゾクゾクするね…もう1発行っとこうか」

「いや、ですっ!解いて!………逃げないし嫌いにならないから……普通に抱いてよ…」

「ん………いいの?」

「このままよりずっといいよッ!もう脚痛いの…」

「痕に…なるかな…ごめんね、きちんと動く?」

飛鳥は吊っていたベルトを緩めてクレーンのようにゆっくりと下ろし、やっと自由になった脚をふにふにと揉みしだく。

 血流が悪くなってないか、痺れはないか、違和感は残ってないか、彼女の足首を持ってキコキコと関節を動かし確認した。

「謝らないでよ…DV男みたいじゃない。…同意でシたんだから…いいよ」

「ごめん……あの、気付いたかな?ゴムは着けてたんだけど」

「え⁉︎そうなの?」

「うん…さすがに…そんな無責任なことできないし…周期の把握できてないし…ジュンちゃんの管理だけだと不安だから」

 やたら「ナマ」を口に出したのは暗示のためか…潤は自身の体の感覚など当てにならないものだと真顔になる。

「なんか…騙された…」

「すぐ気付くと思ったんだけど。ローション多めにしたし新しいゴムだから感触が違ったのかな、ワンタッチ装着って便利…………ん?わっ⁉︎」

 潤は起き上がると座った飛鳥へ抱き付いてそのまま押し倒し、形勢逆転とばかりに自分から跨って素股でモノをしごいていった。

「普通のセックスしましょうね、アスカくん」

「襲われるパターンか、あ♡底なしだね、は♡」

「お返し。余裕無い顔を見せてよ…ん、ん、」

 はらから流れ出た体液はネバネバと潤滑剤になり、二人を再び繋げようと仕事をする。

「あ♡ジュンちゃん…もう入りそう、あ、ダメだよ」

「生理前だし…」

「そう…?信じるよ?あッ…挿れ、て、あ♡」

「もっとお願いして♡」

「ジュンちゃん、挿れさせて♡」

「ふふ、んっ♡」

「はァ♡ジュン、ちゃ…あー…」

 潤はだらしなく歪んだ飛鳥の顔を見下ろして溜飲が下がり、自ら動いて彼を呑み込んだ。

 ラテックスの摩擦が無いツルンとした挿入感、肉々しい感触と体温、抑制されてない分だけいつもより大きくも感じる。

 浮かされた頭の潤はキビキビと腰を動かして薄くなった体液をそのはらへと収め、引き抜いて倒れた拍子にコポッと子種が逆流し、尻を伝ってシーツへと染みていった。


「もー無理だ、もー勃たない」

「アスカがしたんじゃない…ふふ、楽しいね、恋人とセックスするのって」

「うん、好きだよ、ジュンちゃん…ごめん、その…安い嫉妬でこんなしちゃって…」

飛鳥は潤の首の後ろに食い込んだ革の痕を撫でて、心底申し訳なさそうに彼女を胸に抱く。

「いいよもう…私も配慮が足りなかったと思う…でも、仕事に関してはいい加減なことできないから…あとちゃんと割り勘だったからね、デートじゃないから、」

「うん、分かってる…でも傍目に見たらお似合いのカップルだったんだろうなって…なんだろ、同じ職場っていうステージからボクが降りちゃったから羨んでるのかも。いいなぁ…」

「アスカ、情緒不安定なのね…もう寝よう、おやすみ、」


 二人は夕飯も食べず風呂も入らず話しながら就寝、飛鳥の寝室にはむあっと雄と雌の匂いが充満していた。
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