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2019・梅雨

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「だから、なんで謝るのさ。まぁ予想外だけど可能性はあったわけで…ナマで…子作りしたんだからできて当たり前じゃない…中出ししちゃったし、ふは」

「ごめんなさい…アスカはちゃんと避妊してくれてたのに…私が…そのままシちゃったから…」

「ボクのゴムから漏れたのかもしれないじゃん、お互い同意でシたんだから二人の責任だよ。合わせ技一本、ってとこじゃない?」

「だって、…迷惑…」


 シャワーの水音を縫ってゆっくり交わされる会話、飛鳥は蛇口を捻ってお湯を止め、髪をきゅうと絞りその手の水気を払った。

「だから、何がよ?ちょうどいいキッカケじゃない。同棲してる恋人同士で子供ができた、まぁ親御さんにご挨拶に行けなかったのは申し訳ないけど…殴られるくらいなら甘んじて受けるしさ、」

ゆっくりと飛鳥も浴槽へ浸かり、湯の嵩がぐっと上がって顔に湯気がかかってくる。

「あの、…産んで…いいの?」

「当たり前じゃない……え、ボクの子じゃないってこと?」

「違う‼︎アスカとしかしてないもの、」

「だろ?ならいいじゃない…どしたの?ジュンちゃん、情緒不安定過ぎない?」

「だって…アスカ、さっきからお金とか…予定とか…」

「あぁ………言葉が足りなくてごめんね、ボクも正直言って動転してるんだよ、これでも…」


 支離滅裂な会話、明言を避けられた潤の不安感は飛鳥への不信感へと変わってしまっていた。

「アスカ、ハッキリ言って、どういう風にしたいのか…」

「うん?まず産婦人科を受診だろ、それから役所に行って母子手帳の交付を受けて…その足で婚姻届かな、いや、逆の方がいいか…証人が要るから一旦持ち帰って…記念日とか拘らないなら職場の人にでも頼んですぐ書いてもらって、早めに提出しちゃおうよ」

 はっきりと具体的な予定、彼の中ではしっかりと明日の計画が固まっていて、潤はポカンとしてそれを聞いている。

「ジュンちゃんには仕事続けてもらいたいから、産んだ後のことも決めようね。年末……11月くらいから産前休暇だね、もし辞めるならそれでもいいけど、ボクが在宅仕事と家事してジュンちゃんは外で稼いでくる方が合ってると思う、どう?」

「あ、うん…」

「保育園に入れてもいいし、家でボクが見てもいいし…幸い在宅メインの仕事だしね、ちょっと仕事量セーブすればなんてことないよ。ボクの姉の園が6ヶ月から入園できるから、書類も貰っておこうね、ボクも朝と夕方には入るし…充分触れ合いの時間は持てるよ、大丈夫。まぁでも3歳になるまでは自宅でみようかな、幸い蓄えもあるしさ、」

「あの、お姉さんの…?」

知らない情報がいろいろ出てくる、潤はさすがに話を止めて詳しく聞いた。
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