先生、マグロは好きですか?

茜琉ぴーたん

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2018・爽秋

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『は……』

「お気に入りのヒールを気兼ねなく履かせてあげて、コーディネートに気付いて褒めて、生理中の体をいたわったりできんのかって!」

「キッあ♡、あすかッ…もぉっ…、あ、ア♡」

正義の味方とはちょっと違うが、かつての敵をコテンパンにのしてくれる、ヒーローのような勇姿に潤の心身が更に滾る。

「ジュンちゃん、声我慢だよ。んッ!なぁ、ジュンちゃんが疲れてる時に慰めてあげたり、ッは♡…旨い飯作って振る舞ったり、ン♡締めるの上手だね……この子が苦手な事を率先して手伝ってあげて、一緒に笑い合うことがお前に出来るのかって!」

「ゔあッ♡ら、め、アすか、らめ、もォ、あ、あっ…」

視界を遮られ感覚が澄んでいるところに「見られている」という羞恥心。

 かつてそれなりに愛した男が慌てふためく無様さに感じるのはザマァみろという優越感。

 普段より数倍、体と心が掻き乱されて格段に早めのオーガズムが迫って来ている。

「おいケンタくん、っフ!…いいところだから待ってろよ、お前が見たことないジュンちゃんのッア♡……イキ顔ッ見せてやるからよ、なぁ、ジュン、」

「やらっ…見せ…グあっ♡はっ…アス、かぁ♡らめッ♡イっちゃ、あ、あ、」

 手を伸ばして手探りでスマートフォンを倒そうと試みるも、飛鳥はしっかりと後ろ手で固定してさせなかった。

「おら、イケよ、なぁ、ケンタに見せてやれ、一番キレイな顔だよっ」

 アイマスクの上に覗く眉毛の形だけでもその悲痛さが伝わる、潤の表情にケンタは目を見張った。


「ふっ…あ、も、らめ、ハっ♡あ、ミらいでぇっ…あ、ンっ……あ♡あ♡っっっ~~~~~!!!っっきゃ、あっあ♡だ、ンめっ♡ヌイっ…でぇっ♡っ♡あ、見な、いれッ…やらっ♡あ♡」

 ハイペースな中イキ、そして当然やめてはくれない、スピードを上げる飛鳥の責めに潤は一層狂おしく叫ぶ。

「ふはっ…あ、最高だよ、ジュンちゃん♡は…おら、もう少し見せてやるか?ぐっちゃぐちゃの顔、ケンタ、どうだよ、二度と!ボクの!女に!連絡なんか!して来んなよ!」

「ぎっあ♡そこっ、ら♡めッ♡あっは…ア♡あ、」

 飛鳥はニマニマと、潤のチラチラ見える横顔と画面のケンタの間抜け面を交互に見交わして、これ以上ない満足感で果てを迎えようとしていた。

「あー、イキそうだわ。じゃあな、ケンタくん、お前もジュンちゃんに拘らずに新しい幸せ見つけろよ、できれば誠意を持った付き合いでね、じゃあな…勝手に切ってよ、ジュンちゃん、手くらい振ってやりな、ぅらッ」

 飛鳥は手を離してやると、潤は画面があるだろう方向へ両手を軽く開いて振り、息も絶え絶えに別れの挨拶をする。

「ひッ♡あ、さよ、ナラっ…ぐっ♡あア♡♡」

「可愛い、ジュン、あ、あ、」


 もう画角など気にしない、今の振動でスマートフォンはシーツへ倒れて天井を映し、ベッドの軋む音と二人のだらしない声のみがケンタへ届いている事だろう。

「アスカっ、あ、私っじゃなきゃダメって、言って、嘘でも、いいかラっ!」

「嘘は、つけないっ…て、ハ♡…現時点デっ…ジュンちゃんが、一番、それでッ…いいじゃんかッ…♡」

「いじわ、る、いつかッ…嫌いにッ…なっちゃうんだからッ…あ♡♡やっ♡ゔあ♡♡」

後背位で押さえつけられたまま、潤は亀の様に首を精一杯伸ばして飛鳥の顔を見ようとする。

「なって、みろよ、ボクから逃げられるもんならッ♡ボクとのセックスから逃げられるンならねッ♡」

「安心、させ、てよぉ…は♡ひん♡ひゃア♡♡」

「おっし、イクよ、ジュンちゃん♡♡は、いっぱい♡出すからっ♡中でっ♡感じてっ♡ね、ん、んッ、いグ、あ!っっ……、あ♡………んあ♡………あー……」


 くったりと潤は突っ伏して、飛鳥は猛りの治ったモノを抜いてスキンの口を縛り、枕元のスマートフォンを覗いたがもう通話は切れていた。
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