先生、マグロは好きですか？

2018・大暑

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　数日前。

「ねぇ、ホテルの予約はできたんだけど、水着は持ってる？隣接のプールで泳ぐよね？」

飛鳥はこの日は潤の部屋へ泊まり、旅行の計画を立てながら彼女のクローゼットを漁っていた。

「持ってるよ…なんでそんなに…もう、恥ずかしい…」

「あ、コレ、この服可愛いよ、これ１日目ね、んーで…コレ。このワンピースは２日目ね、あ、逆の方がいいかな…んー…」

泊まりがけのデートを充実したものにするべく、着ていく服さえも自分好みにコーディネートしようと目論もくろんでいる。

「水着、見せてよ、どこ？ココ？あ、バイブ見っけー、元気にしてるか、兄弟？」

「い、やあ！」

潤は飛鳥の手から外装の食品保存用袋ごと取り上げ、真っ赤な顔で腹に抱きかかえた。

「それ充電してる？ちょうど危険日だからそれで遊ぼうよ」

「いや、だ」

「挿れるだけ、お願い、先っちょだけでいいから♡」

「何言ってんの…」

「ん、まぁボクの言うことは聞きなって。ほら、よこして」

　交渉するだけ無駄、潤は後ろからショーツをずらされ、常温のシリコン棒をにゅるりと挿入されて「はぅ」と鳴いた。

　そんな事をしてからも飛鳥はクローゼットを物色し続け、遂にそれらしきビニールバッグを見つけて開封する。

「どんな水着かな～……えぇ……コッチかぁ……」

　中に入っていたのはワンピースのいわゆる競泳用水着、彼女が体力づくりに通っていたスポーツジムのロゴが腹と尻に書いてあるオフィシャルグッズである。

「前に使ってたんだけど…上からＴシャツとか着るから…ダメかな」

「ダメだよ、新しいの買おう、もー…確認して良かった……ボクが恥ずかしい目に遭うとこだったよ…」

「スイムキャップは持ってるよ」

「要らないよ！」

そう言って飛鳥はリモコンのスイッチを入れ、潤を悶もだえさせながらスマートフォンでネットショッピングに耽ふけった。


「着るなら何色が好き？背が高いからこういうのも……ビキニはダメ、本当はマイクロビキニとか着せたいけどね…おっぱいが溢こぼれるといけないよね…」

「分かった、わがッ…たァ♡買う、から、とめ、てェ♡」

「ボクが買ってプレゼントしてあげる。ワンピースで、お腹もお尻も隠れてるのがいいな、これとか……ピンクよりは寒色系…コレ、ブックマークしとこ。あと…」

「あ、すかァ♡ゔアあ♡♡♡」


　かくして潤はリゾート用の可愛い水着を手に入れ、飛鳥は元から少ない信用を更に失った。