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2018・新緑

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「(危険日前後は挿入控えてるから…溜まってんのかな…セックス中にグイグイ求めてくる感じは無いけど…遠慮してんのか?)」


 いくらひとりで考えたところで答えが出るはずもなく、飛鳥はもう直接問い質してみることにした。

「…ねぇ所長?今、ナニ隠したのさ」

「…!いや、何も…」

嘘がつけないのだろう、プルプルと唇が震えて目が遠くを泳いでいる。

「怒らないから、教えてよ」

「…何も?」

「ふーん、……ボク見ちゃったんだけど。所長ってば、ああいうのが好きなんだ?」

「すっ、好きじゃないよ!練習で買っ………ぅあ」

「嘘つけないんだから、最初から正直に言えばいいのに」

 飛鳥は潤をソレが充電されていた壁際まで追い込み、

「持ってきて。新参は先輩に挨拶するもんだろ?ボクにちゃんと紹介しな」

と命令した。


 潤は渋々、本当に心底嫌そうに寝室に入っていき、片付けたばかりのソレを出して来た。

「所長の新しいお友達かぁ…穴兄弟?妬けちゃうなぁ。ボクの可愛がりでは足りなかったかー、自信無くしちゃうなぁ~」

ジップ袋の上の方を摘んで目の前に吊り上げ、彼女とソレを交互に見ながら飛鳥の尋問は続く。

「ピンクローターとかならまだ分かるけどさぁ、目的は何なのよ。初心者なのに、リモコン付きって…ふーん…ねぇコレ、ハメたまま外歩きとかするやつでしょ。エッロいなぁ…」

「いや、あの…」

「うん?」

「先生、私より先に、その…い、イッたこと…無い、でしょう?だからその…も、もの足りないのかなぁって…その…」

「ボクの方が?」

潤はそうだ、と頷いた。

 何の裏も無い、彼女は本当にうたい文句を間に受けてトレーニング用にソレを購入していたのだ。


 締まりが悪いわけがない、いつも君のすぐ後を追って果てているではないか。

 飛鳥は潤の不安を取り払う言葉を言ってやりたいが、奥手なこの子が購入したくらいだ、余程考え抜いての行動だったのだろう、と意見を飲み込んでしまう。

「はぁ……うーん、コレ、もう使った?」

「…まだ…恐くて」

「だろうねぇ、よし、トイレ済ませて来な」

「……」

非常に嫌な予感で潤の身体が、脚が、唇が震える。

 潤は本来、ソレを黙って使って「自分磨き」をする予定だったのだ。

 飛鳥の目に触れる予定など最初からありはしなかったのに、置き去りにしてしまったのは本当に凡ミスだった。

 案の定、弱みを握った彼の目は爛々らんらんと輝いている。

「コレ、直接挿れる?ゴム被せた方が衛生的なんだけど…拭いてから挿れようね…んで、コレは自分で選んだのかな?」

「えっ…いや…ユイ…同僚の子と話した時になんかそう言う話になっちゃって…女性に優しいサイトで…一緒に選んだの…」

「…ふん…生々しいね。他には買ってる物無い?隠し事はやだよ」

「コレだけ。ほんと…先生、あ、今?」

 飛鳥は擬似棒を手に、彼女のパジャマズボンをずらして準備に入る。

「待って、うワァッ…やっ…ア♡」

言葉で責められて潤は濡れていたのか、玩具はにゅるにゅると滑らかに、飛鳥の定位置へ収まった。

「ボクの挿れる時より反応大きくない?何か嫌だなー」

「違…質感…とかッ…冷たい…し…」

「硬すぎるよね、立ったり座ったりすると痛いかも…まぁゆったり座れば平気かな?」

「…?」

「出かけるよ、お散歩。ボクも一緒に遊びたぁい、な、」

 それを聞いた潤は目をつむり、やはり軽はずみな買い物などするのではなかったと過去の自分を呪った。
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