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2018・早春

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 キョウ様が潤のために用意したのは胸の谷間を強調したホルターネックのボディースーツで、裾はガーターベルトと一体化していた。

 中央のファスナーでギチギチに胸を半分押さえ込むと、普段の倍ほどに谷間がくっきりと目立つ。

 下はピタッとしたハイレグのパンツを履き、サイハイブーツとガーターベルトを繋いだ。


「これ、紐が下の方が良い?摩擦でやり辛いな」

これはガーターベルトの紐は下着の上か下か、その相談である。

「コスチュームだから上で大丈夫だよ…あれ、所長ガーターベルト慣れてる?」

「法人に所属して最初の頃はスカートスーツだったから、ガーター着けてたの…」

「なにそれエロい、今度見せてよね、」

「もう捨てちゃった…ねぇ、毛とか見えない?」

「見えてないよ。……所長って、変なところ明け透けだよね」

「ごめん、女子更衣室のノリだった」

少し照れながら、最後に大きなウサギの耳が付いた革のマスクを頭から頬まですっぽりと被って顔を隠す。


 着替えが済めば、一応二人は並んで記念自撮りをした。

 すると至近距離でアイコンタクトもしないまま深いキスが始まり、強く抱き寄せられた潤の胸に腹に膝に革の摩擦ときしみが伝わってくる。

「ぷは………すごい。先生……えっち…」

「キョウ様、ね。ふふ、所長が見たいって言うから……叩かれてみる?」

キョウ様はテーブルの下段のカゴに入れられたむちを指差して不敵に笑う。

「やっ、遠慮しとく…」

「だろうね、そろそろお客さん来るよ、そこの椅子で脚組んでさ、せいぜい偉そうにしててよ」





 キョウ様は革のアイマスクを着け、しばらくすると予約客が案内されプレイが始まった。

 潤は言われた通り端の椅子で踏ん反り返り、雰囲気を壊さないようにただセットとして息を呑んで見守る…「ただ見られている」というのもM男にとって刺激になるそうだ。

 だが正直、潤は他所の男性の半裸など見たいはずもなく、なるべくキョウ様だけをマスクの視界に収めるのだった。


 今日の客は初めての利用で、拘束・スパンキング・踏みつけなどの初心者コースを選んでいる。

 キョウ様はあくまでヘルプなので専ら初心者相手だが、常連コースになるともはや潤の理解を超えるエグいプレイが繰り広げられるようだった。

 さて、実際にキョウ様のプレイを観た感想としては、「凄い」の一言であった。

 初めてでぎこちない客に対して飴とムチを使い分け、始めは優しく、次第に厳しく、最終的に局部を踏みつける様は圧巻で…潤は観ていてマスクの下で悲鳴をあげそうになったほどだ。

 50分のコースの今日のメインは手淫…いわゆる手コキで、客の男からは「イカせて下さい」と懇願の呪詛じゅそが絶えず、罵倒しながら寸止めを繰り返すボンデージのキョウ様の姿は悪魔そのものだった。


 だくだくと射精を済ませたら前髪を掴み小声で何か囁いて、恍惚の表情の男を残してキョウ様は部屋を出て行く。

 ぽうっと見ていた潤もアタフタと立ち上がり、その後を追って控え室へ帰った。

 客が帰ったら別の担当者が道具の入れ替えや清掃をしてまた使えるようにするらしい。
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