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2018・早春
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しおりを挟む遡る事数週間前。
潤のパートナーの飛鳥は、パソコンスクールの講師・ウェブデザイナー、さらに副業で男相手の女王様をしている。
手袋を介して触ったり叩いたり、抜いたりするらしい。
「らしい」というのも、性文化に疎い潤はひと通りの説明は受けてもイマイチ頭に入ってこなかったのだ。
なので、一度見てみたいと無理にお願いをして、飛鳥がヘルプで勤めるニューハーフSMクラブの見学をさせてもらうことになった。
休日前夜は二人のお決まりのデート日、飛鳥はできればムードを盛り上げてからホテルへ行きたかった。
場合によっては彼女がショックを受けて帰ってしまうことも考えられる。
なのでできるだけ新規のソフトなプレイで、と店長に話をつけ実行に移した。
約束の日、潤は終業後にタクシーで隣市の繁華街へ20分は走った。
教えられた雑居ビルの裏口から3階へ上がり、スタッフオンリーと書かれた扉を入る。
「あのー、こんばんは…」
「…あら、いらっしゃい、ジュンちゃんやね?キョウちゃんから頼まれてるわ、ちょっと待ってね」
進んだ先には更衣室とメイク室の区分けもされていない控え室があり、メイク中の女性が出迎えてくれた。
『キョウ』とは飛鳥の源氏名、潤はペコリと頭を下げて、まじまじと女性の横顔に見入ってしまう。
「(美人さんだぁ…いや、男の人か…私よりスタイル良い…)」
「お待たせ、こっちやで、…………そこの右の部屋な、ごゆっくり♡」
「ありがとうございます…」
潤は暗い廊下の先「使用中」と書かれた部屋をノックし、恐る恐るドアを開ける。
「所長?おつかれ、どうぞ、中へ」
壁も天井も真っ黒な4畳半ほどの狭い部屋には、手枷・足枷・蝋燭などの調教道具が揃えて置いてあった。
出迎えてくれた飛鳥…もといキョウ様は、下ろした髪の上にピンと尖った革の猫耳カチューシャを着けていた。
上はデコルテが大きく開いたビスチェで、体の中心に縦に金色のファスナーが走っている。
脇腹のアジャスターでキュッと締め上げられ、強調されたウエストのラインは女性的では無いにしても引き締まっていて美しい。
下は同じ素材のホットパンツで股間の膨らみがそれはもうくっきりと浮かんでおり、ニーハイブーツとで創る絶対領域の白さが際立って眩しかった。
「これに網タイツとか合わせたり……女には見えないだろうけど、アタシのお客さんはこれで興奮するんだよ」
「案内してくれたさっきのお姉さんも、男の人なの?」
「うん、あーでも胸は工事済みだよ、自然だよね」
「そうか、心が女性で…男の人が好き…な人なんだよね」
「そう、アタシは性対象が女性だから、ただの女装。ここにいるほとんどのお姉さんはトランスジェンダーだよ。性自認は女性、」
ふふと笑ったキョウ様の手にはハンガーに掛けられた黒い革服があった。
「見学だけど、所長も一応着替えてくれる?」
「わぉ…入るかな?」
「既製品だから大丈夫だよ。オーダーメイドだと、もっとピッタリして気持ち良いよ、今度作ろうか♡」
「いや…とりあえず着てみる…」
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