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先生、マグロは好きですか?2017

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 しばらく眠ったようだ、潤は飛鳥の声で目が覚める。


「所長、所長…、そろそろ、」

「あ、すみません!あ、すごい。きれいになってる…」

デスクに置かれたスラックスは乾いており、シミは残っていない。

「ありがとう…ございます…」

「困った時は、ね。味方だからね、所長。そろそろ休憩時間が終わるし、ここも閉校だよ」

時刻は16時、パソコン教室の最終講座が終わる時間であった。

「じゃあ、出てるから履き替えてね」

「あ、いえ、すぐ着替えますので。そちらを向いてて頂ければ」

そう言うと、飛鳥が「そんな…」と背を向けるのを待たずに、その場で潤は借りた膝掛けをほどく。

 そしてシミ抜き済みの自分のスラックスに脚を挿した。

 彼女は飛鳥が男性だということを失念しているのか、気が置けない女友達くらいに捉え出したのかもしれない。


「ありがとうございました、今度何か、必ずお礼をさせてください!失礼します」

颯爽さっそうと潤がカウンターへ戻って行く…血濡れのショーツの入ったビニール袋を忘れて。

「……」

飛鳥はそれもバッグに入れて、消灯し退室した。





 それからというもの、潤は生徒が居ない時は教室内の飛鳥と雑談をするようになる。

 専ら地域情報だが、潤には非常に役立つ話が多かった。

 飛鳥の個人情報も少し…潤より3つ年上なこと、バッグに色んなものが入っていること、女子力が高いことはよく分かった。
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