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2018・新緑
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しおりを挟む出かける準備として、飛鳥は潤にタイトなスキニージーンズを履かせた。
万が一抜け落ちても服の中で留まるように、との配慮である。
その上に腿までのチュニックワンピースを着せ、飛鳥は上機嫌で潤を車までエスコートした。
「本当は、ガーターベルトとかがエロくていいと思うんだけど、途中で落としちゃったら困るもんね、所長」
「……そーね」
駐車場へ降りて悪戯心が湧き出した飛鳥はリモコンを手にスイッチをONしてみると、
「うわぁ!」
とあまり色気のない悲鳴が周辺へ轟いた。
その顔は苦悶か愉悦か、今はまだ驚きが勝っているような表情をしている。
さてどこまで彼女を崩せるか、飛鳥の思案はより過激で危険な方へと走っていく。
「よし、じゃあ助手席にお掛けになって、所長」
と主導権ごとハンドルを握って離さない飛鳥は運転を始め、潤がとても見慣れた、通い慣れた路をすいすいと進んだ。
「……」
あぁやっぱり、と発さずとも伝わる潤の絶望に似た表情、二人を乗せた車はじきにムラタの駐車場へ到着した。
「ちょっと、先生…?ここ歩くつもり?」
「うん?買い物だよ」
しれっと飛鳥は目的を告げた。
つまり自分の職場で、いかがわしい事をしながら、その姿を人前に晒せ、とそういうことである。
「待ってよ…今日、誰が出勤だっけ…」
潤は必死に頭を働かせ、本日の管理職や自部門のメンバーを思い出そうとする。
メンツによっては見せても構わないのだろうか、飛鳥は彼女の妙な余裕を感じとり、それならばと余計に虐めてやろうと画策するのであった。
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